■ただのルーフカットモデルにあらず……
カスタマイズカーなので、ベース車は、市販仕様のスープラだ。当初の計画では、カットしたルーフ部を加工し、着脱式ルーフを製作する予定であったが、切断作業が非常に難しいだけでなく、カットしたルーフを再利用しても、着脱式ルーフに作り変えることができないことが判明。そこで3Dプリンターを用いて、新たなに樹脂製の着脱式ルーフが制作されることになった。
着脱可能なルーフは2分割式となるが、歴代スープラのエアロトップ同様にバーレス構造としたことが大きなこだわり。またトヨタによるカスタマイズということもあり、クオリティも徹底的に追求され、まさにエアロトップの復活を予感させるものだ。もちろん、ルーフカットによるボディ剛性への影響が生じないように、ボディ下部の補強対策も行われているという。
■市販を期待したいが……
ワンオフモデルながら、市販車同様の高いクオリティが追及され、開放感溢れるドライブを予感させる「スポーツトップ」の市場投入を望む声は、かなり大きいだろう。そして、何よりもヘリテージエディションとスポーツトップが並んだ姿が、まるで80スープラが新車となって蘇ったように感じさせる。そんな懐かしさも魅力的だ。ただ現実的には、厳しいとは言わざるを得ない。
新型スープラは、BMW『Z4』と基本コンポーネントを共有する共同開発車である上、生産自体もZ4とともにオーストリアにあるマグナ・シュタイアー社が請け負っている。そのため、生産効率にも影響を与える新ボディ形状の追加は、コストを意識するならば、相応の販売台数が求められる。
かつてトヨタ『86』のオープンモデルのコンセプト『FT-86オープンコンセプト』が提案されたことがあったが、これも販売台数が望めないということでお蔵入りとなっている。確かにエアロトップ仕様のほうが、オープンカーよりも現実的ではあるが、生産効率や輸入車であることを難しいのだ。
しかし、協業及び委託生産となる新型スープラのモデルライフは、噂によれば2025年という話も聞く。近年のスポーツカーとしては短命だが、それでもマイナーチェンジの機会が十分にある。特にメイン市場である米国ファンの声が高まれば、限定仕様という形でスポーツトップの誕生が叶うかもしれない。
今は状況を見守るしかないが、米国トヨタの担当者も何とも罪なことをしてくれるもの。いやこれは開発サイドを焚きつけるための荒業だったのかも……。とにかくカスタマイズカー「スポーツトップ」の誕生には、米国でスープラが愛されていることを感じさせる。彼の地で日本車が愛されていることを素直に喜びたいと思う。
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