新型車開発なぜ長期化? 「昭和」は4年だったのに「令和」は10年超!!

■開発に必要な時間とコストが爆増

 最初の車検が3年になると、4年に1度のモデルチェンジじゃタイミングを合わせられなくなってしまう。新車を買った人は1回目の車検時期だと、すでにモデルチェンジまで1年。乗り換える気分にならぬ。2回目の車検タイミングであれば新車が出てから1年以上経過してるから、浮かれ気分で契約のハンコを押す人だって少ない。

 それでもクラウンやマークII、カローラなど、トヨタの中核となるクルマは4年サイクルのフルモデルチェンジをしていくのだけれど、大半が5年を基本とする傾向。1990年代に最も売れたクルマとして知られるレガシィは5年ごと。セレナも5年。ステップワゴンやオデッセイのように明確なタイミングを決めない車種だって少なからず出てきた。

1991年に発売した7代目カローラ。カローラも4年ごとにフルモデルチェンジしていた。この頃はカローラに乗っていた多くのユーザーが、再びカローラに乗り換えていた
1991年に発売した7代目カローラ。カローラも4年ごとにフルモデルチェンジしていた。この頃はカローラに乗っていた多くのユーザーが、再びカローラに乗り換えていた

 以上は販売面での流れ。

 ただそれだけなら5年というモデルチェンジサイクルで解決できそう。

 されど近年、さらにモデルチェンジサイクルが長くなる理由も出てきた。ハード面の投資コスト&開発時間です。

 昭和の時代、クルマのモデルチェンジは比較的低コストで済んでいたと思う。膨大な走り込み試験を必要とする電子装備は”ほぼ“無し。

 自動ブレーキなど影も形もなく、横滑り防止だって1997年の登場。最高速度180km/h出るようなクルマが希少だった時代ということもあり、開発や安全性確認、作り込みに必要な期間も短くて済んでいた。衝突安全性能すら1990年代前半に厳しくなるまで、今からすれば驚くほど簡単な基準しか無い。気軽に新型車を作れたことだろう。

2000年代に入って国産車は急速に性能を上げた。最高速についていえば、市販車で300km/hオーバーを出すこともできるようになった。ファミリーカーでも200km/h出るクルマもちらほら出現
2000年代に入って国産車は急速に性能を上げた。最高速についていえば、市販車で300km/hオーバーを出すこともできるようになった。ファミリーカーでも200km/h出るクルマもちらほら出現

 また、4年に1度フルモデルチェンジすると言っても、プラットフォームはそのままというケースが大半だった。

 クラウンを見ると2~6代目まで基本的に同じ。7~9代目も改良を加えているものの同じ。モノコックになった10代目と11代目は共通ボディ構造で、外板を変えた程度。いわゆる「スキンチェンジ」と言って良い。

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■最近のフルモデルチェンジは昔の2~3世代ぶん??

 4年でフルモデルチェンジしている時代、エンジンについても大きく変わるのは8年以上使ってから。ターボを付けたり出力向上させたりしているが、シリンダーブロックから変えていないため、開発に掛かるコストや時間だって短くて済んだ。わかりやすく言えば、外観やインテリアをガラリと変えて「新型車です」と言って売れたワケです。

 最近はそう簡単にいかない。先代レヴォーグが発表されてから6年。新型はエンジンひとつとっても(先代モデルと)まったく共通性なし。プラットフォームだって100%違う。巨額の開発コストと実走行試験を必要とする自動ブレーキも新しい世代になった。昭和の時代のフルモデルチェンジとコストの掛かり方や進化度合いがお話にならないくらい違うのだった。

2014年6月に発売された初代レヴォーグは、2020年11月に2代目(写真)へフルモデルチェンジ。エンジンもプラットフォームも先進安全装備もすべて刷新した
2014年6月に発売された初代レヴォーグは、2020年11月に2代目(写真)へフルモデルチェンジ。エンジンもプラットフォームも先進安全装備もすべて刷新した

 9年フルモデルチェンジしていないアクアも、次のモデルはレヴォーグと同じくらい徹底的な進化になることだろう。

 今年フルモデルチェンジを予定しているモデルの多くが、昭和の時代なら2~3世代程度に相当する変更を受けていると考えていい。「新しい技術を投入しようとしたら10年近くかかる」と言い換えてもよかろう。

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