駐車場有料予約システムはSA・PAでの休憩場所に困るトラックドライバーを救うか?

■トラックドライバーの意見 その3 深夜帯の駐車車両を円滑に流すことが肝心

 ドレージでトレーラをけん引するヒデさんも否定的だ。

「今回の有料予約駐車場に関してはニュースで目にしましたが、理解に苦しむところがあります。

 そもそも深夜帯のSA・PAの渋滞慢性化は深夜割引待ちのクルマに起因していることが主であって、そこの車両達を円滑に流すことができれば、大部分はクリア可能だと思っています。皆そこに居たくて居座っているのではないということをもっと理解していただきたいと思います。

 仮に有料化が始まったとして、お金を払って中小規模の運送会社が利用するのかといったところにも疑問を抱きます。

 そもそも社会実験が行なわれている豊橋PAが東京発で4時間以内に到達できないことは、430の見地からいっても実験場所として不適格。大都市間の幹線輸送便ですらその手前で止まらなければならないのに、本来の実情が見えるのでしょうか?

 こんな実験をするよりも、ひと昔前にあった30%割引、深夜帯は50%や大都市近郊外の100km未満50%割を復活させてもらいたいです。今と実情は違うかもしれませんが、あの頃は駐車場に停められないなんてことはまずありませんでしたから……」。

■トラックドライバーの意見 その4 「駐車場予約システムは現場を知らない人間の机上の空論だ」

 今回は「豊橋PA」の撮影までお願いしてしまった長距離トラックに乗るひろしさんだが、ひろしさんからはさらに辛辣な指摘が……。

「豊橋PAは毎回見ますけど、予約スペースにトラックが停まっているのを、ほぼ見たことがないですね。大手路線会社が停まっているのを数回見たくらいです。時間を分散したらよいだの、有料にしたらいだの、何かしなければならないからいろいろ考えられているんでしょうが、机上の空論だと思います。高速道路を走っているトラックは、同じような時間帯に同じような場所を走る大手路線会社だけではありません。

豊橋PAの予約エリアへのゲート。ETCカードを車載機に挿入し、予約レーンに入ると自動でゲートが開閉する。予約エリアはガラガラなのに、右手に見える一般車エリアはトラックでいっぱいだ(写真/ひろしさん)
豊橋PAの予約エリアへのゲート。ETCカードを車載機に挿入し、予約レーンに入ると自動でゲートが開閉する。予約エリアはガラガラなのに、右手に見える一般車エリアはトラックでいっぱいだ(写真/ひろしさん)

 まず、停まる時間帯を分散するために有料化するなど、体力がない中小零細の運送会社にはなんの利点もありません。高速道路の『深夜割引』を待つためにPAが満車になるとよく言われますが、法律で決まっている8時間の休息や430休憩のほうがPA満車の直接的な原因になっていると思います。

 運転手の走り方を知らない人が考えた法律なんでしょうが、これを守らないといけないがために、夕方すぎにはPAが満車になります。この法律を変えられないのであれば、有料化の実験の前に、より広いスペースを確保するしかないと思います。

 豊橋は場所も中途半端なんですよね。関東~関西なら中間地点なのでいいでしょうけどね。関東から下ると、だいたい4時間地点です。その前後のPAは夜になると満車ですが、豊橋の予約場所はガラガラですよ。

 そもそも毎回そこにたどり着くとも限りませんので、事前予約は運行スケジュール(積時間・出発時間)がキッチリしている仕事じゃないと不便だと思います」。

ガラガラの駐車場予約システムのエリア。まるで現場を知らない人間の「机上の空論」を象徴しているかのようだ(写真/ひろしさん)
ガラガラの駐車場予約システムのエリア。まるで現場を知らない人間の「机上の空論」を象徴しているかのようだ(写真/ひろしさん)

■まとめ

 今回は4名のトラックドライバーの意見を聞いたが、いずれもSA・PAの駐車場予約ステムには否定的で、このシステムがトラックの駐車場不足の解消につながるかというと、「まったくそう思わない」というのが共通した認識だった。

 ひろしさんの言葉を借りるなら、「現場を知らない人間の机上の空論」ということになるが、現場で一番困っているのはトラックドライバーである。なぜ日本の交通行政や施策にはトラックドライバーの声が反映されないのだろうか。実効性のある対策を求めるのなら、まずは彼らの声に耳を傾けるべきではないだろうか。

【画像ギャラリー】本当にこの国の流通を担うドライバーたちを救えるのか?

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