駐車場有料予約システムはSA・PAでの休憩場所に困るトラックドライバーを救うか?

■さらに5月1日からは一部有料化する取り組みも……

 豊橋PAの予約エリアは、全長13m以内の「中型/大型」駐車マスが10台分(うち1台は定期利用)、同25m以内の「特大/ダブル連結トラック」が9台分(うち3台は定期利用)。ETC2.0搭載車両と、事前の会員登録などに加えて、有料実験中はクレジットカードでの決済が必要となる(予約・会員登録などは運営管理などを受託するタイムズ24のサイトから)。

「中型/大型」では0時から3時が課金対象となり、予約開始から60分間は無料、以降30分毎に120円が課金される。定期利用は月1万円。「特大/ダブル連結トラック」は20時から(翌日の)5時までが課金対象で、こちらも予約開始から60分は無料、そのあとは30分毎に250円が課金される。ただし、最大料金は1000円で、定期利用は月2万円だという。

 さて、この「駐車場有料予約システム」は、駐車スペースの確保に苦しむトラックドライバーにとって朗報となるのか、それとももっと根本的な問題があるのか? 高速道路をよく使用する現役トラックドライバーに意見を聞いた。

高速道路のSA・PAの駐車場で大型車枠に駐車する乗用車。トラックドライバーには迷惑な存在だ
高速道路のSA・PAの駐車場で大型車枠に駐車する乗用車。トラックドライバーには迷惑な存在だ

■トラックドライバーの意見 その1「解決策になるとはまったく思わない」

 まず、航空貨物の輸送を担当している鰻さんの意見である。

「有料の駐車場予約システムがトラックの駐車場不足の解決策となるのかということですが、一言でいえば、『まったく思いません!』ですね。

 まず、有料化については、高速代(割引)を気にしない、駐車費用も負担してくれるような大手企業ならいいですが、中小企業が多い運送会社では使わないでしょう。そもそも高速代ですら全額出る企業はどのくらいあるの? って話ですよ。深夜割引が基準になるのは当り前、それ以上はドライバー負担という会社もザラだと思います。

 今回の金額が妥当かどうかは、なんとも言えません。ただ、ETCを利用し出入りを管理するなら、時間を15分単位とか1時間単位にしたほうがいいと思います。トラックドライバーは4時間運転したら30分休憩しなければならない、俗にいう430(ヨンサンマル)が法令で決められています。30分停まっていなければならないのに、30分単位だと、出入りの時間を含めると最低1時間分の駐車料金が必要となる気がします。

 あと、予約システムにしてしまうと、予約したSA・PAまで行かなければならなくなります。事故・工事・通行止めなど、道路事情などで運行時間内に予約した場所まで行けない場合もあると思います。

 予約制にして、しっかり休息させるための場所を確保するという目的はいいですが、結局、運転手の負担とされてしまう気がします。

 以前から言われている高速の駐車場不足は、翌着の一般組と夜間の路線組で、同じ時間に物流が集中することが原因のひとつだと思います。現実的にはむずかしいですが、物流時間を分散化しないと根本的な解決にはならないのではないでしょうか。

 法定の休憩・休息時間があるのに、行政や高速道路会社は『高速のSA・PAは長時間利用を前提にしていない』としています。一般道や着先付近には大型車を停められる場所が少なく、そのためSA・PAの駐車場を長時間利用しているのがドライバーの現状です。この現状の『ズレ』が改善されなければ、大幅な改善は見込めないと思います」。

■トラックドライバーの意見 その2 大型車駐車場を効率的に確保することが何よりの解決策 

  大型トラックに乗っているD.Kさんの意見はどうだろう?

「結論から申せば、PAの予約システムには反対です。理由は、駐車マスのキャパシティが増えるものではなく、むしろロスを生む可能性すらあり、根本的な解決にはなり得ないからです。

 運行に見通しが立てやすく、コンプライアンス意識の高い運送会社にはいいかもしれませんが、もともとタイトな運行を強いられている、ブラック運送会社の運転手は、より駐車しづらくなるでしょう。逆に休憩が不十分になるリスクに配慮しなくてはいけません。

 有料化に関しては少しだけ賛成です。言うまでもなく、高速道路の料金は時間ではなく利用距離に応じて決まるので、PAの滞在時間は実質無料です。予約枠の有料化では弱いですが、次世代ETC等のシステムでPAの駐車料金を適切に収受できれば変わると思います。

 深夜割引などのプライシングで、夜間の比較的空いている高速道路の利用を推奨しているように、料金によって混雑を緩和するのは悪くない手法に思えます。その深夜割引によって駐車場不足が引き起こされているのは皮肉なことです。大型車休憩スペースの確保に鑑みると、現在の高速料金の深夜割引は必ず足枷になると言及しておきます。

 話は飛躍しますが、大型車駐車場を効率的に確保することが何よりの解決策と考えます。工業団地などの遊休地を利用できないか、河川敷や公園などの駐車場を活用できないか、あるいは他の運送会社の駐車場を利用できないかなどなど、横断的に検討すべきです。

 特にほかの運送会社の車庫の活用について、一番の問題は貸与する側のセキュリティですが、これも次世代ETCなどで予約・入出庫管理などを可能にすれば、夜間無人の車庫よりもむしろ悪戯などを抑止できる副次的な効果も見込めます。さらに、コインパーキングのように料金の収受が可能になれば、都市圏の地価が高いエリアに立地している運送会社にとっては、副収入も期待できます。

 また、コンビニや飲食店の大型車駐車マスの設置について、補助金を交付する方法も考えられます。現在、コンビニや飲食店の大型車駐車マスの設置については、事業者の自主性に委ねられていますが、駐車マスの確保が行政として取り組むべき課題であり、公共の福祉に適うものであれば、パーキングエリアを創設する以外にもやり方はあるということです」。

深夜帯のSA・PAはトラックで埋まることが常態化しており、駐車できない車両も続出している
深夜帯のSA・PAはトラックで埋まることが常態化しており、駐車できない車両も続出している

次ページは : ■トラックドライバーの意見 その3 深夜帯の駐車車両を円滑に流すことが肝心

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