スバルに”台数”は必要なし!? スバルの利益率が国内ナンバーワンの理由

  国内メーカーの1台あたりの営業利益。つまりクルマ1台でいくら利益を生んだかという数字がある。日本経済新聞2018年3月14日付けの記事によると、スバルの2017年度の1台あたりの営業利益は「約36万円(※)」という。

 5年連続で自動車メーカーとして首位を維持している。強みの北米販売が好調という理由があるが、そのほか何が要因なのだろうか?

 アイサイトの標準化などそれなりにコストもかかっているはずのスバル車だが、なぜそんなにスバルは利益を生み出すことができるのか。渡辺陽一郎氏にそのワケを聞いてみた。

(※)年間営業利益を世界販売台数で割った数字。調査結果には航空・宇宙分野など自動車分野以外の営業利益も含まれている可能性があります。しかしスバルの営業利益3794億4700万円のうち、自動車分野は3614億5400万円を占めており、影響は軽微と考えられます

文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
ベストカー2018年6月26日号


■スバルは職人肌というより商売上手!?

 スバルは技術指向の実直なメーカーといわれるけど実は商売が上手。軽自動車など儲けの少ないクルマを作らないほうへシフトし、一番安価な車種でもインプレッサです。

 クルマを売る地域も儲けやすい北米が中心で、スバル車全体の63%を占める。次は15%の日本で、儲けの少ない新興国で低価格のクルマを売ることはしない。それらがまず要因にありますね。

 スバルが開発と製造を行うクルマは、今は水平対向エンジン搭載車だけ。プラットフォームも大きく括れば1種類。車種の数も抑えて、XVのような派生車種で品揃えを整える。効率が優れ、利益が出る構造なのです。

国内メーカーの1台あたりの営業利益。スバルは突出している
国内メーカーの1台あたりの営業利益。ご覧のようにスバルは突出している。日本経済新聞によるとトヨタは約25万円、スズキは約10万円、三菱約8万円、マツダは約12万円

■販売面での工夫、そして”指名買い”に支えられる

 販売関連の出費を抑えています。例えば国内の販売店舗数、トヨタが約4900店、ホンダが2200店なのに対し、スバルは470店前後です。トヨタの10%以下に抑え、販売促進費用を抑えるなど効率を向上。

 これにより国内の1店舗あたりの車両売上高は、約170店舗のレクサスに次いで2番目に高いです。

 いっぽう、海外では水平対向エンジン採用などを前面に押し出しブランド力を高め、北米では他メーカーに比べて販売奨励金を少額に抑える。販売コストを節約することが利益を生んでいます。

エンジン、プラットフォームなどを共通化し、バリエーション豊富なラインアップを展開しているのも高利益の理由だ
エンジン、プラットフォームなどを共通化し、バリエーション豊富なラインアップを展開しているのも高利益の理由だ

 また無資格検査の件では、国内ではブランド力に悪影響を受けたけど、2017年の登録台数は対前年比で結果的にプラスになっていることにも触れたい。

 購入したユーザーの多くが〝スバル車指名〟ということも、プラス要因でしょう。

  今は首位を脅かす他社がない状態で、今後もスバルの1位が続きそうです。ただし今年に入り、スバルでは完成検査における燃費と排出ガスデータの書き換え問題が発覚。

 国土交通省が本社に立ち入り検査を行っており、これがきっかけで今の安定人気が揺らぐ可能性もある、ということは否定できません。

【編集部まとめ 実は日本市場も堅調だ】

 スバルは北米市場のみならず、日本市場も堅調だ。2018年5月11日発表の2018年3月期連結決算をお伝えしよう。

 売上高は前期より2.4%増の3兆4052億円、6期連続で過去最高を更新。主力の北米市場での販売が好調だったことが主な要因だが、日本だけを見ても2.8%の増となっている。日本の売上も実は堅調といえる。

 その売上を受けての営業利益。前期比で7.6%減の3794億円で、純利益は前期比22.0%減の2204億円と2期連続の減益となった。

比較的堅調ともいえるスバルの国内市場。フォレスターデビューなどもあるが2018年度はどうなる!?
比較的堅調ともいえるスバルの国内市場。フォレスターデビューなどもあるが2018年度はどうなる!?

 昨年発覚した無資格検査問題のリコール費用(無料の回収・修理)などを織り込んだ部分が響いたといえよう。

 また前期比22.0%減と大きく下回った純利益については、「経営破綻したタカタ製のエアバッグのリコール費用の計上も影響している」と語っている。来期は利益面での巻き返し、なるか!?

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