中国製EVの急速な大躍進で、ヨーロッパの自動車メーカーが窮地に立たされている。世界の自動車産業にとって中国はもはや無視できない一大市場だが、そこで起きていることが、そのままコンパクトなタイ市場でも起きているという!?
※本稿は2026年1月のものです
文:鈴木直也/写真:トヨタ、三菱、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2026年2月10日号
急速なEVシフトはタイ市場に何をもたらした?
2022年から2023年にかけて、タイの自動車市場は「EVフィーバー」と呼ぶべき熱狂に包まれた。
中国メーカーの相次ぐ参入とタイ政府による「EV3.0政策」の補助金を背景に、BEVの登録台数は約8倍へと爆発的に膨張。
バンコクの街中をBYD、MG、NETAなど中国EVが走り回る光景は、ASEANにおけるEVシフトの象徴として報道され、日本では「日本車の牙城・タイで中華EV急成長。後れをとる日本勢」といった見出しが踊ったわけだ。
しかし、その宴は長くは続かず、2024年以降急速に鈍化している。
直近のデータによると、BEV販売台数は7.8万台→7.2万台と前年比マイナスへ転落。その一方で、HEV(ハイブリッド)販売台数は9.4万台→12.2万台と大幅増となっている。
供給過剰による飽和と、充電インフラ等の現実的な課題に直面したBEV市場は、早くもピークアウトを迎えたように見える。
一方、再評価されているのが、トヨタやホンダが得意とするHEV、そして中国勢も投入を始めたPHEV(プラグインハイブリッド)やREEV(レンジエクステンダーEV)だ。
タイの一般庶民にとって、自動車購入で最も重要なのは「リセールバリュー」だ。
BEVは補助金や値下げなどでエントリーの敷居を下げたのが人気の原動力だったが、3年経ってリセールバリューの低さが明らかになってきた結果、現実的なクルマ選びへの回帰が起きている。
注目すべきは、これが単なるタイ固有の現象ではなく、中国本土でも現在進行形で起きているトレンドの縮図であること。「理想から現実への回帰」のサイクルは、中国市場よりも市場規模が小さい分、タイのほうがよりドラスティックかつ高速に進行しているのが興味深いところなのだ。
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