4月販売でタントより売れた!? ムーヴキャンバスが売れている理由とは

■2台の個性と走行性能および価格の比較

 一方、ムーヴキャンバスは、タントとは異なる機能を採用する。後席の下側に装着した引き出し式の収納ボックスだ。これを引き出した状態でバスケットを立ち上げると、収納ボックスの上に置いた買い物袋が倒れにくくなる。走行中に買い物袋が倒れて車内に荷物が散乱するのを防げるのだ。

ムーヴキャンバスの「置きラクボックス」。 後席の下に収納棚が装備され、前方に引き出すとカバンや買い物袋を置くのに便利
ムーヴキャンバスの「置きラクボックス」。 後席の下に収納棚が装備され、前方に引き出すとカバンや買い物袋を置くのに便利

 そこでムーヴキャンバスのスライドドアは、左側に加えて右側にも電動式を標準装着した(右側はオプションの車種も多い)。予め後席右側の収納ボックスをバスケット状態にしておくと、買い物袋を収めた後、電動スライドドアを閉めながらドライバーはスグに運転席へ乗車できる。収納ボックスのバスケットを便利に使うには、右側の電動スライドドアが不可欠だった。

ムーヴキャンバス 後席の電動スライドドアを両側に標準装備。スライドドアと置きラクボックスで両手が塞がった買い物もラクラクこなせる
ムーヴキャンバス 後席の電動スライドドアを両側に標準装備。スライドドアと置きラクボックスで両手が塞がった買い物もラクラクこなせる

 以上のようにムーヴキャンバスの車内は、買い物などに使いやすいワゴン的な価値観で仕上げた。デザインにも重点を置き、インパネにも丸みを付けて上質な印象がある。

 対するタントの車内は、子育て世代が使いやすいように配慮されて価値観はミニバンに近い。インパネには大型のトレイも装着され、実用性を重視する。

 動力性能も比べたい。ムーヴキャンバスはターボを装着しないノーマルエンジンだけで、車両重量は2WDでも920kgに達するから性能的には大人しい。登坂路ではパワー不足を感じる場面もあるが、平坦な街中の走りであれば不満は生じない。

 タントは無段変速ATのCVTに副変速機を組み合わせて、変速できるギヤ比をワイド化した。車両重量は標準ボディのXは900kgだ。設計が新しいために、高機能ながらも軽量化が進んだ。

 これらの相乗効果により、WLTCモード燃費も、ムーヴキャンバスは20.6km/L、タントのノーマルエンジン車は21.2km/Lと少し優れている。

 走行安定性もタントが勝る。先代型の操舵感が鈍く曲がりにくかったこともあり、現行型は自然な印象になって後輪の接地性も充分に確保する。その代わり乗り心地は、ムーヴキャンバスが柔軟だ。タントは走行安定性と操舵感が向上した代わりに、街中を時速40km以下で走ると、細かな上下動を伝えやすい。

 衝突被害軽減ブレーキなどの先進機能は、設計の新しいタントが優れている。タントのターボエンジン搭載車には、車間距離を自動制御できるクルーズコントロールなども採用されるが、ムーヴキャンバスには設定がない。

 価格は、ムーヴキャンバス GメイクアップリミテッドSAIIIが158万4000円、タント Xは149万500円だが、右側スライドドアの電動機能を加えると約155万円になる。基本的な機能と価格のバランスは同程度で、ムーヴキャンバスは内外装の質感を高め、タントはシートアレンジを充実させて車内も広い。

■ムーヴキャンバスの個性的な機能と雰囲気が今の時代とマッチした

 タントは背の高いボディにスライドドアを装着する実用重視の軽自動車だ。

 その点でムーヴキャンバスは、スライドドアを備えながらも、内外装をオシャレに仕上げて趣味性も併せ持つ。1700mm以下の全高を含めて、ムーヴキャンバスにはスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンとは違う個性があり、ユーザーの共感を得ている。

 特に外観の印象は大きく異なる。タントカスタムは、アルファードを小さくしたような印象で、目立ち度や存在感が強い。

 その点でムーヴキャンバスは、表情が優しく、協調性を感じさせる。この穏やかな雰囲気は、今の時代にも合っているだろう。ムーヴキャンバスが走る街中は、その情景も少し変わるように思う。

街中のムーヴキャンバス。レトロな雰囲気があり、VWワーゲンバスを彷彿させるカラーリングがいい
街中のムーヴキャンバス。レトロな雰囲気があり、VWワーゲンバスを彷彿させるカラーリングがいい

【画像ギャラリー】どこかレトロでやさしい表情の「ムーヴキャンバス」を写真でチェック!!

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