■先代ケンメリに続く年間15万台の大ヒット!!
発売されるやスカイライン「ジャパン」は多くの人を魅了し、好調な滑り出しを切っている。登場の翌年の1978年は、15万4000台あまりの販売を記録した。そして1979年も14万台以上がユーザーの手に渡っている。
6気筒エンジンを設定する、上級クラスのスポーツモデルが月に1万台以上の販売を2年続けて記録したのだ。これは驚くべきことである。大ヒットと言われた「ケンとメリー」に劣らない販売を記録し、日産のドル箱だった。この快挙は、もっと高く評価されるべきだろう。
セリカはライバルと言えないくらい売れていないし、マークIIもかなわなかった。
スカイラインは、販売が好調でも手綱を緩めない。さらにクリーンな排ガス対策を目指し、1978年8月にエンジンを換装している。新世代の4気筒エンジンとして送り出したのがツインプラグ、NAPS-Z採用のZ18型SOHCだ。
電子制御燃料噴射装置を用いたZ18E型エンジンも加わり、昭和53年排ガス規制をパスしている。これに続いてZ16型エンジンと三元触媒を用いたL20型直列6気筒エンジンも排ガス規制を乗り切った。しかもドライバビリティと実用燃費も向上させている。ちなみに型式は「C211」だ。
■ギャレット製T03タービン装着のターボエンジンを投入
1979年夏、フロントマスクとリアビューを化粧直しし、GT系はデュアルヘッドライトに代えて角型2灯式ハロゲンヘッドライトを装備した。
新鮮味を取り戻したスカイラインに対抗してか、セリカは「名ばかりのGTは道をあける」の過激なコピーを打ち出している。マスコミは騒ぎ立てたが、開発陣は動じなかった。このCMによってセリカの販売が大きく伸びたわけではなかったからだ。
スカイライン「ジャパン」はDOHCエンジンこそラインアップしていないが、走りのトータル性能はライバルを相手にしない。直列6気筒エンジンは4気筒のDOHCエンジンより上質なパワーフィーリングで、5速MTのシフトフィールも秀逸である。ハンドリングとフットワークも一級の実力だ。素直なハンドリングで、懐が深い。
そして1980年4月、ギャレット製のT03タービンを装着したL20ET型ターボエンジンを投入して反撃に出た。この「ジャパン」ターボは5速MTに加え、3速ATを設定して高性能ターボATの先駆けとなっている。バンパーの左側に逆文字で書かれた「TURBO」のロゴが粋だ。
■「名ばかりのGT」は苦難をのりこえた名車だった
これ以降もスカイラインは積極的にバリエーションを広げ、6月にはLD28型直列6気筒SOHCディーゼルエンジンを積む280DGTを投入した。また、Z20E型エンジンを積み、4輪独立懸架に四輪ディスクブレーキの2000TI-E・Sの設定も話題となっている。
スカイライン「ジャパン」は限定販売の特別仕様車も意欲的に送り出した。「ブラッキー」に始まり、「シティボーイ」、電動サンルーフ装備の「スカイロード」と続いている。週末キャンペーンやノベルティの配布など、次々に新しい戦略を打ち出し、オーナーの家族までも楽しくさせたのだ。
また、テレビのアクションドラマ、「西部警察」にも「ジャパン」ターボなどが登場し、お茶の間の人気者になった。
スカイライン「ジャパン」は排ガス対策が強化されただけでなく、コスト低減も叫ばれている時代に開発され、多くの難問を解決しながら登場してきている。そのためスポーティ感覚は薄いように思われ、「名ばかりのGT」呼ばわりされた。
だが、GTとしての実力は高く、運転して楽しいだけでなく長距離を走っても疲れは少なかった。安全性に関しても最先端を行っている。販売台数だって後に名車と言われたR30やR32よりはるかに多いのだ。もっと高く評価されて然るべき名車の1台と言えるだろう。
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