■旧サンバー神話は幻想なのか?
清水「ハイゼットを買ってみてしみじみ思ったのだが、少なくとも現在においては、旧サンバー賛歌というのは、一種の宗教ではないか。4気筒エンジンも、確かに高回転までスムーズに回ってビックリしたが、低速トルクがないので日常域では非常に遅く感じたし、計ってないが燃費も悪かったようだ。
それと比べるとわがハイゼットは、旧規格ボディに660cc搭載という優位性もあって、非常に速いと感じる」
マリオ「参謀長殿のハイゼットは速いでありますか!?」
清水「640kgしかないし、3気筒エンジンのトルクで、3速20km/hから40km/hまでの加速に毎回陶酔しておる。この太いトルク感は、旧サンバーでは味わえまい」
マリオ「正直に申し上げますと、旧サンバー信者たちは、スバリストの中でもとりわけ狂信的かつ原理主義的で、話し合いは不可能なのであります!」
清水「旧サンバーオーナーが旧サンバーを賛美することは全面的に是認するが、旧サンバーに乗ったこともないカーマニアまでもが、耳学問で『軽トラなら旧サンバー』と言っている部分がある気がしてならないのである。それもまあ、スバリストたちの布教の成果であろうが」
マリオ「旧サンバー信者によりますと、旧サンバーがダイハツのOEMに切り替わったことで、全農家が難渋し、旧サンバーを恋しがっていることになっておりますが(笑)、実際にはそのような現実がないことは、私も認識しております。現在のダイハツ製サンバーに乗りますと、FR車的な楽しさがあると感じるであります!」
■たとえ幻想といわれようとも……旧サンバーは永遠のアイドル
清水「実は私は旧サンバーには1回しか乗ったことがない。真実の姿はどうだったのか?」
マリオ「数多くの美点があったことは申し上げましたが、弱点としては、ショートホイールベースのRRレイアウトだったため、直進安定性が低く、高速道路ではまっすぐ走るのが困難でありました。ただ、4輪独立サスの恩恵により、しなやかな足回りで、乗り心地は優れておりました」
清水「そうか、なるほど。思えばわがハイゼットは、十分な直進安定性を持っているぞ。しかも驚くほど乗り心地がいい。リーフリジットサスの古い軽トラに、乗り心地など1ミリも期待していなかったのだが、ダンパーが抜けているせいか、非常にソフトでふんわりしている。その点でも旧サンバーに負けない自信がある」
マリオ「軽トラ黎明期は、乗り心地でも静粛性でも、サンバーの圧勝だったのであります!」
清水「神話は永遠ということか」
マリオ「確かに旧サンバーの優位性は、スバリストの脳内補正がかかっている面はあると思いますが、旧サンバーが永遠のアイドルであることは、スバリストにとっては絶対的な真理であります。私も仮に軽トラが買えるならば、一も二もなく旧サンバーを選びますし、中でも赤帽サンバーは究極の憧れであります!」
清水「そう言えば、赤帽はサンバーだったな」
マリオ「赤帽サンバーは年間10万キロ走ることも珍しくないため、エンジンの耐久性を特別に向上させてあるのであります。旧サンバーに赤帽エンジンをリビルドして載せるのが、スバリスト共通の夢であります!」
清水「……健闘を祈る!」
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