実はいろんな決まりがあるセルフガソリンスタンドの裏側と注意点

実はいろんな決まりがあるセルフガソリンスタンドの裏側と注意点

 1998年の解禁から、23年。いまや街中で見かける多くのガソリンスタンドがセルフ式であり、若いドライバーのなかには「フルサービスのスタンドは、あたふたして緊張するから苦手」という方も多いのではないでしょうか。

 しかし実は、セルフ式のガソリンスタンドでも、給油をするドライバーの様子は、しっかりモニターされています。「セルフ式」とはいえども、完全にセルフではない、ガソリンスタンドの裏側をご紹介します。

文:吉川賢一
アイキャッチ写真:AdobeStock_detailblick-foto
写真:写真AC、AdobeStock

【画像ギャラリー】実はセルフじゃない!? セルフ式ガソリンスタンドの裏側


「レバーを引くとガソリンが出てくる」わけではない

 セルフ式ガソリンスタンドでの給油は、給油レーンにクルマを停めエンジンを切り、タッチパネル等で油種や支払い方法を選んだあと、給油口を開け、静電気除去シートに触れてから給油ノズルをもち、ノズルを給油口に挿し、レバーを引くことで給油をする、という流れが一般的。

 給油している身とすれば、これらの作業をすべて自分で行っているので、ドリンクバーのように「セルフ式」だと思えますが、実はほんとうの「給油開始ボタン」は、その様子をモニターでチェックをしている、ガソリンスタンドのスタッフが押しています。

 セルフ式ガソリンスタンドでは、店舗内でユーザーの様子をスタッフがモニターしており、正しい給油操作が行われているか、チェックしています。たとえば、火気はないか、クルマ以外のなにか(ポリタンクやガソリン携行缶など)に給油しようとしていないか、油種は間違っていないか、しっかりとノズルを挿したか、などです。

 スタッフがひとりひとりの動作をチェックし、安全が確認できたら「給油許可」のボタンを押し、給油が可能な状態となります。「お金を入れてレバーを引くとガソリンがでてくる」というわけではないのです。

ガソリンスタンドのスタッフが安全を確認したうえで「給油許可」をしなければ、お金を入れてレバーを引いても給油はできない(PHOTO:写真AC_keisuke3)
ガソリンスタンドのスタッフが安全を確認したうえで「給油許可」をしなければ、お金を入れてレバーを引いても給油はできない(PHOTO:写真AC_keisuke3)

給油開始後もいろいろな制限が

 また、「4分ルール」といわれる制限もあります。消防法に基づく規制で「一度に給油できる量は、ガソリン・ハイオクは100リッター、軽油は200リッターまで。給油の速度は、毎分30~35リッター。給油の時間は4分間まで」という規則です(軽油に限っては、大型トラック向けに例外もある)。これらをこえると給油が自動的にストップします。

 加えて、セルフ式ガソリンスタンドでユーザーが給油できるのは「乗ってきた車両のみ」。例外として、積載車に乗せてきた車両への給油を行うことはできますが、ポリタンクはもちろんのこと、ガソリン携行缶にも、ユーザーが給油することはできません。

 ご存じの通り、ガソリンや軽油は、非常に危険な物質。ガソリンを取り扱うためには、「危険物取扱者甲種」もしくは「危険物取扱者乙種4類」の資格が必要です。

 もちろん、セルフ式ガソリンスタンドも、危険物取扱者免状を持った「危険物取扱者」(ガソリンスタンドの従業員に限る)が保安を監督しており、携行缶への給油には、危険物取扱者の資格が必要ですので、必要な場合はスタッフにお願いをしてください。

給油できる量やスピード、給油時間も消防法によって厳しく決められている。また、ユーザーが携行缶へ給油をすることはできない(PHOTO:写真AC_のすけラボ)
給油できる量やスピード、給油時間も消防法によって厳しく決められている。また、ユーザーが携行缶へ給油をすることはできない(PHOTO:写真AC_のすけラボ)

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