レギュラー仕様車にハイオクを入れても「燃料代が上がるだけ」
レギュラーガソリンとハイオクガソリンの違いは、「オクタン価」。ハイオクは、オクタン価の高いノックしにくいガソリンです。レギュラーとハイオクで発熱量はほぼ同じなので、レギュラー仕様車にハイオクを入れても、同じ制御であれば、出力も燃費もほとんど変わりません。
ただ、最近の電子制御エンジンでは、ノックセンサーを装着してノックの発生を検出して、ノックしないギリギリの点火時期に設定する制御を採用しており、その制御内容はメーカーやモデルによって違うので一概には言えませんが、レギュラー仕様車にハイオクを入れるとノックしづらくなるので、そのとき点火時期を進角する制御を採用していれば、エンジン出力の向上が期待できます。
ただし、出力が向上するのは全負荷(スロットル全開)運転付近だけなので、普通の走行ではその差は実感できません。
また燃費も、制御によらずほとんど変わらないので、レギュラー車にハイオクを入れることは燃料代が上がるだけ。ちなみに、ハイオク仕様車にレギュラーガソリンを入れると、ノックが発生しやすくなるので、通常は点火時期を遅らせるノック制御が行われます。しかし、エンジンの耐久信頼性の観点からはリスクが高まるので、避けるべきです。
暖気運転は「燃料の無駄」
冬の寒い日に、アイドルでエンジンが暖まるまで暖気運転している光景をまれにみかけます。エンジンが暖まっていない冷態時は潤滑オイルの温度も低いため、エンジンのカムやクランクなどの摺動部が傷つき摩耗するのを防止する目的で、走り出す前にアイドルでエンジンを暖めるというのが「暖気運転」です。
しかしながら、最近のエンジンは、摺動部品の精度や表面加工、材料技術が進み、また潤滑オイルの性状も改善されているので、エンジンが暖まる前に走行しても容易に摺動部が損傷することはありません。必要のない長時間アイドル運転は、燃料の無駄使いにつながります。
例えば、冷態時のアイドル燃費が温態時の2倍と仮定するとおおよそ燃費は1時間当たり1.2L、10分の暖気運転で0.2L消費することによって、ガソリン代約30円の無駄遣いになります(※現在のガソリン単価150円/Lとして計算)。
暖気運転はアイドルではなく、普通に走行しながら暖気するのが効率的です。ただし、始動直後はアイドル回転が安定しているか、異音は発生してないか、といった日常点検の確認を済ませてから、走り出すことをお薦めします。無駄なアイドルは環境への配慮という面からも、よくありません。
「新車の慣らし運転」は必要ない
「新車納入直後は、エンジン回転が4000rpmを超えるような高速運転を避けて、慣らし運転を心がけた方が良い」とする意見に触れることがあります。
GT-Rのように手組されたエンジンではなく、生産ラインで組み立てられたエンジンは、摺動部のなじみがついてないため、フリクションが大きく、急激に回転を上げたり、負荷をかけると摺動部が傷つく恐れがある、という理由のようですが、慣らし運転を行うように指示されている一部のクルマを除いて、慣らし運転は必要ありません。
最近のエンジンは部品の精度や信頼性が向上しており、過激な加減速を繰り返すような運転をせず、普通に走行していれば、なじみは自然とついていきます。
組み立てた直後のエンジンとなじみがついたエンジンでは、フリクションの差によって燃費が2~3%程度変化することがあります。逆にこだわり過ぎて低速走行を長く続けると、なじみがつかずにフリクションが下がらない状態が続くので、燃費の面ではよくありません。
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昔は常識だったはずのエンジンの知識の一部が通用しなくなった要因は、燃料噴射や点火時期などが高精度に設定できる電子制御技術が確立されたことに大きく関係しています。クルマやエンジンの進化は凄まじく、これまでの常識が時間とともに非常識となってしまうことには、今後も留意しなければいけませんね。
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