基本性能からデザインまで、さらに魅力を昇華させた現行ハリアー
現行型のプラットフォームは、RAV4やレクサスNXも使用する、TNGAの「GA-K」を採用。ボディの高剛性化と低重心化を図り、乗り心地と走行性能を基本から向上させている。この進化はハリアーのようなオンロード主体のSUVには重要なポイントで、明らかに乗り心地やハンドリングで先代との差を感じる部分だろう。
エクステリアデザインは、先代よりも鋭い表情の細いLEDヘッドランプと、そこに組み込まれた二重のL字型に発光するデイタイムランニングランプが印象的だ。サイドビューは、シンプルな構成でありながらもダイナミックにボディ断面が変化することで筋肉質なフォルムに動きを加え、アスリートのような動感を感じさせる。
キャビンスペースは、スタイリッシュでありながら、張り出したホイールアーチや立体的な造形のバンパーで逞しさを表現している。リアビューは横一文字に光るランプが配置され、先進性と存在感が感じられる。「ハリアーらしさ」はそのままに、どの角度からみても美しいと感じる、計算し尽くされたデザインだ。
インテリアもすばらしい。個性の薄れがちなインパネデザインも、「馬の鞍」をイメージしたという幅の広いセンターコンソールと、それを挟み込むパネルの組み合わせで印象的な個性をもたせている。
レザー調素材や「曲木(まげき)」技法に着想を得たというウッド加飾、パイピング加飾、障子越しのような柔らかい光が差し込む調光ガラスを用いたパノラマルーフなど、斬新なアイデアを盛り込みつつ、さりげない上質な空間をしつらえている。まさに日本の美意識に寄り添った高級感に仕上がっている。
ハリアー人気最大の要因は「絶妙な価格設定」
とはいっても、ハリアーが他のクルマに比べて、ずば抜けて素晴らしいわけでもなく、メカニズムもハリアー独特のものではない。ではなぜ、ハリアーはここまで人気を維持できるのだろうか。
その最大の要因は、「絶妙な価格設定」にあると筆者は考える。ガソリンモデルの価格は299万円〜443万円、ハイブリッドは358万円〜504万円で、それぞれに2WDと4WDが設定されている。価格と装備のバランスが良い中間グレードのG(2WD)でもガソリンで341万円、ハイブリッドで400万円だ。これは他のミドルクラスSUVと同価格帯かやや高めといったところで、高すぎるわけではない。
ハリアーには、若い男性が憧れる質感とステータス性がある。デザインが若々しくてスポーティ、そして誰が見てもはっきりと分かる上質さがある。誰もがイメージできるような「いいクルマ」でありながら、「ちょっとがんばれば買える価格」。安すぎても憧れにはならない、高すぎても手が出ない。その隙間をハリアーは絶妙についているのだ。
また、「高級すぎない」というのもポイントだろう。とにかくギラギラと高級感を出しまくるデザインではなく、加飾を抑えてカジュアルなニュアンスすら感じられる、嫌味にならない高級感がハリアーにはある。
コンパクトSUVやミドルクラスミニバンから乗り換えたいとユーザーに思わせる魅力があるのではないだろうか。ハリアーは、どんな年齢、環境であってもスマートな選択肢になり得る、そんな広い受け皿となるモデルなのだ。
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ハリアーのような高級SUVはたくさんあるが、それらはハリアーよりもずっと高価であり、ハリアーのライバルとはいえない。国産モデルでミドルクラスのSUVだとエクストレイルやCX-5、CR-Vなどが挙げられるが、いずれもハリアーとは個性が異なるため、真っ向勝負にはなりにくい。ハリアーの独走は、今後も続きそうだ。
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