eKスペース&eKクロススペース、さらにルークス生産停止の怪! いったい何が?

■販売店も問題解決を望んでいる

 今後の対応も尋ねた。

「これから契約されるお客様には、エアバッグの事情と併せて、納期が不明なことをお伝えしている。ただし、すでににルークスを契約され、納車を待っているお客様には、予想外の事情で迷惑をおかけする。お客様によっては、2021年12月下旬から2022年1月に、下取りに出す車両の車検期間が満了する場合もある。この対策は難しい。今は昔と違って、販売店にお客様に貸すための代車は用意されていない。下取り車を受け取り、新車が納車されるまでの間は、臨時でレンタカーを貸し出すなどの対応を図る」。

 エアバッグの作動に関しては、例えば「衝突時以外に展開するような誤作動の可能性はない」という。そのために「すでに納車されている車両を使う分には、心配はない。車両の回収もしていない」とのことだ。

 それでもeKスペース&eKクロススペース、ルークスの届け出は、前述のとおり停止されている。届け出を再開する見込みが立たないのは、三菱と日産の販売店としては困った事態だろう。

売れ筋の軽自動車が売れないという事態は、販売店もメーカー自身も非常に辛い……
売れ筋の軽自動車が売れないという事態は、販売店もメーカー自身も非常に辛い……

 特に三菱では、前述のとおり2021年に新車として売られたクルマの57%を軽自動車が占める。そのなかでもeKスペース&eKクロススペースは、最も人気が高い。eKスペース&eKクロススペースが生産と届け出を中止すると、三菱の国内販売総数のうち、20~25%が減ることになる。

 この点についても三菱の販売店に尋ねた。

「クルマは販売すれば、その後の点検や車検、保険などによって定期的な売り上げを見込める。特にeKスペース&eKクロススペースは、フロントマスクを(ダイナミックシールドのデザインに)変更しており、これが人気を高めた。そのためにほかのメーカーから乗り替えるお客様も多い。つまり三菱のお客様を増やすクルマでもあるから、なるべく早く解決して欲しい」。

 三菱は業績を急速に回復しており、その矢先にこの問題が発生したので、辛いところだろう。日産も状況は似ている。ルークスは2021年1~11月に、1か月平均で7680台を届け出した。ノート+ノートオーラの7438台を上回り、ルークスは日産の国内市場における最多販売車種だ。

 国内で売られた日産車全体の20%をルークスが占めるから、生産と届け出の停止は日産の国内販売にも大きな影響を与える。

■筆者はこう主張する

 冒頭で述べたとおり、今はダイハツとスズキ以外のメーカーも、軽自動車の国内販売比率を増やしている。特に全高が1700mmを上回るスライドドアを備えたスーパーハイトワゴンの売れゆきが多く、軽乗用車の半数以上を占める。

 eKスペース&eKクロススペースとルークスはこのタイプだから、生産と届け出の停止は国内販売に大きな影響を与える。ホンダも2021年1~11月に国内で売られた新車のうち、N-BOXが33%を占めた。N-BOXに、eKスペース&eKクロススペースやルークスのような問題が生じれば、ホンダの国内販売は大きなマイナスを強いられる。

 このような事態を避けるためにも、商品はバランスよく販売することが大切だ。そのためには日本のユーザーに歓迎される車種を幅広く揃えることが求められ、「国内市場を大切に考えているか否か」が問われる。

 eKスペース&eKクロススペースやルークスは、デザイン面も含めて優れた商品だが、そこに依存する体質はきわめて危うい。今回の一件で、この課題が明らかにされた。


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