運送業界ピンチで急浮上!! 燃料高騰で導入が求められるトラックの「燃料サーチャージ」とは?

トラック運送における燃料サーチャージ制とは?

 トラック運送の燃料サーチャージは、荷主企業と運送事業者の間で基準となる価格を定め、燃料価格の上昇分を運賃・料金に反映するもの。

 標準的な運賃では100円/Lを基準価格としているが、今年に入ってから軽油価格は130円/Lを超える水準で推移している。

燃料価格高騰で導入が求められるトラックの「燃料サーチャージ制」はどんな制度?
運送事業者が自社の敷地内に給油施設を設置する「インタンク」。石油元売り業者から直接軽油を購入するので一般的なスタンドより価格が安い

 なお、トラック事業者から燃料費の上昇分を運賃・料金に反映することを求められたにもかかわらず、運賃・料金を不当に据え置くことは、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和22年法律第54号)に違反するおそれがある。

 また、貨物自動車運送事業法(平成元年法律第83号)附則第1条の2に基づき、荷主への働きかけ、要請、勧告・公表等の対象となる。

 実際の例を見たほうが分かりやすいと思うが、次に示すのは「標準的な運賃」に基づく、燃料サーチャージの具体的な計算例だ。なお計算式は「走行距離(km) / 燃費(km/L) * 算出上の燃料価格上昇額(円/L)」となっている。

 標準運賃では基準価格100~105円は算出上の燃料価格上昇額を2.5円としている。それ以降は5円上がる毎に算出上の価格も5円上がる。関東地方の大型トラック・距離別運賃の場合、東京~福岡間(1100km)の走行に対して標準運賃は31万6590円だ。

 燃料価格が120円だとすると、算出上の燃料価格上昇額は15円+2.5円で17.5円。仮に燃費が3.3km/Lなら、1100 / 3.3 * 17.5 = 5834円(端数切り上げ)が燃料サーチャージになる。これは標準運賃の約1.8%に相当する。

 同じ条件で燃料価格が130円となった場合、算出上の燃料価格上昇額が27.5円となるので、サーチャージは9167円(運賃の約2.9%)という計算だ。

 荷主企業がこの金額を負担するのであれば、輸送力は燃料価格に左右されず、安定的に確保できる。

 トラック運送は国内輸送の9割を占めている。安定した輸送力の確保は、最終的には消費者や荷主企業にとっても利益となる。コロナ禍でサプライチェーンが注目される今こそ、「持続可能な物流」のあり方を考えるべきではないだろうか。

【画像ギャラリー】燃料価格高騰が大打撃となる大型トラックの給油(10枚)画像ギャラリー

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