軍用トラックを多く生産するウラル
ウラルは1941年、中央政府によりZIS(スターリン名称国営第1自動車工場)のトラック生産ラインを分散したうち、ウラル山脈東麓に設置された分工場を前身とする。
42~55年まで戦時型3t積車「ZIS-5V」を生産。56年に改良型3.5t積「UralZIS-355」が完成するが、同時に新型車の開発も進め、58年に「UralZIS-355M」として発表した。なお、62年に工場名がウラル自動車工場(UralAZ)となった。
61年、4.5t積6×6車「Ural-375」と、その改良型「Ural-375D」(69年)は、優れた走行性能で特に軍用トラックとして高評価を得た。77年にディーゼル化した「Ural-4320」に移行、現在も生産中である。
99年に10~12t積キャブオーバー車(現・ウラルM) を追加。2015年、Ural-4320に新型GAZ車と共通のキャブを導入した「ウラルNEXT」が発表された。
なお、ウラルは05年からGAZグループ傘下だったが、20年に統一機械製造グループ(OMG)傘下となっている。
フォードの支援で国産化したGAZ
ゴーリキー自動車工場=GAZは、1932年設立の自動車メーカーで、フォードの支援で乗用車とトラックを国産化し、戦後は完全国産化を達成した。
46年に2.5t積トラック「GAZ-51」の生産を開始、47年にその4×4車型「GAZ-63」も加わり、旧共産圏でも国産化された。62年に後継となる3t積4×2車「GAZ-53」、また64年にキャブオーバー2t積4×4車「GAZ-66」が登場。
「53」は89年に「GAZ-3307/-3309」へ一新されたが、「66」は更新されず、97年登場の「GAZ-3308サドコ」が後継となった。また、2004年には、GVW7.5t未満車「GAZ-3310ヴァルダイ」が発売された。
14年に発表された現行の「ガゼルNEXT」はGVW3.5~4.6t車、「ガゾンNEXT」は「3307」系の後継となるGVW8.7~10t車、19年から生産の「サドコNEXT」は無論「3308」の後継4×4車だ。
20年7月には、ロシアでも配送需要の拡大を受け、新たにGVW6.7tキャブオーバー車「ヴァルダイNEXT」が発表されている。
ベラルーシのトラックメーカーMAZ
ベラルーシのMAZ=ミンスク自動車工場は、第二次世界大戦中の1944年に設立されたトラックメーカーで、米国のレンドリース車の組立を担当し、戦後はヤロスラヴリ自動車工場(YaAZ)が開発した大型トラックMAZ-200を生産した。
50年にGVW25tダンプを独自開発・生産し、57年にはGVW50tダンプも製品化するなど、重量級大型トラック分野に進出した。
58年にMAZ-200系の後継となるキャブオーバー車MAZ-500系を開発、生産は65年からとなったが、以後MAZの主力となり、78年からMAZ-6422/-5432系に一新された。
ソ連崩壊後の停滞期を経て、97年に新型のMAZ-6430/-5440系に全面改良。同年には独・MANと提携、欧州全域での運行に対応したMAZ車の合弁企業・MAZ-MANも発足した。
99年に中型モデルMAZ-4370系を新たに展開、2014年には新開発キャブとダイムラー製Euro-Ⅵ適合エンジンを搭載するMAZ-5440M系を発表し、18年から生産を開始している。
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