■簡単には爆発しない。……しかし
クルマで「爆発」と言えば真っ先に頭に浮かぶのがガソリンタンタンクだろう。
映画で崖からクルマが転落するシーンでお約束の派手な爆発。あれは現実に起こりえるのだろうか。
実は漏れ出た燃料にスパークした電源や衝突時の火花によって火災が起きる可能性はあるものの、クルマはそんな簡単には爆発などしない。「クルマは爆発するかのか? しないのか?」と問われれば「爆発する可能性はある」が、そのためには一定の条件が整う必要があるからだ。
2015年にナショナルジオグラフィックが『「ガソリン満タン」の車は爆発しない 大爆発する車はどれ?』というクイズを公開している。ガソリンが「タンクは空」、「半分」、「1/4」、「満タン」の4種類のクルマを用意。「このうち大爆発するのはどれか?」とクイズ形式で視聴者に問いかけ、理論立ててその理由を解説していくという動画で、発火装置を燃料タンク下部に仕掛けそれぞれ発火させている。
その結果、「タンクが空」の車両のみ派手に爆破炎上した。
キーワードは「15:1」。
いわゆる理論空燃費で、常温で気化するガソリンは燃料1に対して空気が15(厳密には14.7)の比率になったとき、もっともよく燃焼する。
つまり、爆発するためには適切な酸素量が必要で、満タンだとガソリン濃度が高すぎ空気も足りないため爆発しなかったのだ。そこで、動画では「走るときは満タンで!」という結論で終わっている。
■大きな事故に遭ったらイグニッションをオフに
とはいえ、事故の状況によっては燃料タンクや燃料ラインが破損してガソリンが漏れ出し、その周囲の空間でたまたま爆発に適した空燃費になることも考えられる。
また、爆発に至らないまでも、火災の危険は確実につきまとう。衝突発火による火災は,衝突時の衝撃火花や車両の配線から発生した火花がガソリン等に着火し,出火する事例が多くみられるからだ。
このため、必ずしも「満タンなら大丈夫」とは言い切れないのが現実。
もしもエンジンルームやトランクがひしゃげるほどの大事故に遭遇した際は、イグニッションキーをオフにして車両の配線の電気を遮断することが大切! そして、ガソリンの臭気が漂ってきたときは、一刻も早くクルマから離れることが自身と家族の安全のために重要となる。
自身は安全運転であっても、不定の輩が飛び込んでくるいわゆるもらい事故の危険は常につきまとう。万が一のときのために、このことはキッチリ頭に刻み込んでおきたい。
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