もしあなたが遭難した?
理想的には救命いかだが装備されており乗り込みさえすれば、サバイバル術を駆使してで助かる可能性は高い。現実には船長が退船を決断し退船信号(船室に必ず掲示されている汽笛を用いた旅客に向けた合図)を発すれば乗組員が上部の避難場所に指定された甲板から誘導してくれるのでそれに従って退船すればよい。
救命いかだには救急医療具の他、さまざまな信号装備が積まれている。重要なのは前述の通り自位置を知らせることなので、信号紅炎や落下傘付信号(照明弾のようなもの)は最低限装備されている。本船の航行区域によってはレーダー反射器、水密電気灯、原始的だが使える日光信号鏡が積まれている場合もある。
漂流に備えて救難食糧や飲料水が積まれている区域もある。そして最も頼りになるのは生存指導書だ。日本船舶の場合は日本語と英語で書かれた200ページ程度の冊子で水濡れでも平気な紙に鉛筆とメモスペースがあり、赤またはオレンジの表紙で実用的なサバイバル術が書かれている。
しかし、ページをめくった最初はおどろくことに精神論の羅列だ。これは遭難して動揺するとすぐに命を落とすことになるので、まずは救助が必ず来て助かることを前提に意思をしっかりと持つために精神論が並べられているという。陸上の安全な机上でこれを見た時にはぞっとしたのは言うまでもない。
最後に生存指導書の最初に書かれていることを抜粋しておくので海上での遭難に限らずサバイバル精神の基本と考えてお読みいただきたい。なお生存指導書は単品でも艤装品として手に入るので興味のある方は持っておいて損はない。
生存指導書
「生き抜くために、望みを捨てるな。救助は必ずやってくる。遭難、漂流と人生最悪の極限ではあるが、強い精神力で3日は生き延びよう。後は10日も生きられる。海は不毛の砂漠ではない。食料の魚、プランクトンもある。
また、魚肉の50~80%は真水である。船が沈んでも世界はある。何も恐れることは無い。過去の遭難の犠牲者は海の為に死んだのではない。恐怖のために死んだのである。飢えや渇きによって死ぬには長時間かかる。最後の1秒まで生き延びる努力をしよう。死を急ぐ理由は何にも無い。家族が待っている。」
なお本当に漂流した際には絶対に海水を飲んではならず、尿の飲用も現在では推奨されていないことを付け加えておく。バスとは直接の関係はないが、たまたま関係免許を持ち合わせ一定の教育を受けた経験から解説したので参考にしていただきたい。
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