バスターミナル作りのポイント  発着バースを考える


 『バスマガジン』本誌で連載中のコラム「成定竜一の高速バス業界“一刀両断”」から、学生時代にバスターミナルのアルバイトとしてバス業界と出会い、現在では各地の計画にコンサルティングを行う筆者が、バスターミナル作りのポイントを解説した記事を再編集して掲載する。 (本文の内容は、2016年3月号掲載の記事に加筆・改定したものです)

文/写真:成定竜一(高速バスマーケティング研究所代表)
編集:古川智規(バスマガジン編集部)

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発着バース運用の形態はさまざま

 現在、国による「バスタプロジェクト」をはじめ、全国で高速バス用バスターミナルの新設計画が相次いでいる。鉄道駅と同様に利用しているバスターミナルについて考える。

 まずはバスターミナル(BT)の分類についてだ。東京駅JR高速BT(八重洲口)、名鉄バスセンター、西鉄天神高速BTのグループと、旧・京王新宿高速BT(西口)、鍛冶橋駐車場、阪急三番街BTのグループの2種類に分類したが、その違いは何だろうか。

自由席路線の比率が大きいJRバス東京駅。路線ごとにバースが固定され、待機列が長い

 答えは「便ごとの発着バース(のりば)が、あらかじめ固定されているかどうか」である。前者のグループでは原則として路線ごとに乗り場が決められている(便ごとに割り振られるケースもある)。

 それに対して後者のグループでは、出発便が入線するタイミング(バスの到着順)によりその都度、係員が乗務員に入線すべきバースを指示する。両者の差はどこから生まれ、どんな特徴があるのだろうか。

発着枠を最大化するには?

 旅客案内上は当然、のりばが固定されている前者がわかりやすいし、乗客の安心感も大きい。一方で、その都度のりばが変わる可能性がある後者のメリットは、限られたスペースで最大限の出発便を設定できることだ。

 前者の場合は固定された乗り場にしかバスが付けられないために乗降扱いをしていない「空きバース」が残る可能性がある。しかし後者ならば空いているバースにどんどんバスを入れていけばよいので無駄がない。続行便も、後者の方が柔軟に設定可能だ。

鍛冶橋駐車場。乗客は待合エリアで入線を待ち、入線後にバース番号が案内される

 また、始発地ではなく途中停留所になるBTでは、定刻から遅延して到着するケースがあり、のりばを固定してしまうと乗客に混乱が生じる。全便の入線が一律に遅れる場合には、案内放送等で対応可能だ。

 しかし定刻で入線する当該BTが始発の便と、遅延して入線する便があるBTでは固定されたのりばではなく、空いているのりばにバスを誘導することにより、乗客には「バスが入線したら放送などでご案内します」と言い切ってしまえばよい。

 そのような理由で(「旧・新宿西口」アルバイト出身である筆者は特に)後者の、のりばを固定しないタイプの運用を推奨することが多い。ただし、BT全体でのりばを固定しない方式を完全採用するには条件がある。

ハイブリッドという手も!

 「座席が指定されていない便(座席定員制や予約定員制または近距離高速バスや空港連絡バス等)」については、のりば固定で運用するしかないのだ。座席を指定しない路線では先着順乗車なので乗客に並んでもらう必要があり、そのスペースは原則としてのりばの前になるからだ。

 座席指定制路線の場合は、事業者側でシステムや予約センターを設置する費用が必要で、乗客にも予約の手間が発生するので、短距離で高頻度運行、日常利用の乗客が多く、鉄道との競合路線では定員制をとることが多い。

鍛冶橋駐車場。改札中の便のみバース番号を表示。それ以降の便のバースは未定のため非表示

 仮定の話だが「旧・新宿西口」発着路線のうち例えば新宿~甲府線は、BTのスペースが十分にあり、のりば固定タイプで運用できていたならば、東京~水戸線などと同様に座席定員制となっていたのではないだろうか。

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