違反者は後を絶たない! 「自転車の危険行為」を禁じる14項目
道交法に15番目の項目「自転車の妨害運転」が加えられたのは、故意に違反行為を行う、異常とも言える自転車を規定するためだ。しかし、積極的に危険行為を働く自転車でなくても、クルマの通常運転に害を及ぼす自転車は少なくない。
ドライバーの方々にはぜひここで、「自転車を対象にした危険行為の規定」の、その他14項目も再確認していただきたい。常識とも言えるこれらルールを犯す自転車は、その時点ですでに悪質と言え、健全なドライバーに不利益をもたらす可能性がある。
筆者が自転車雑誌の編集人を務めていた時、警視庁に出向き、道交法の同条文に関して取材をしたことがある。それら項目を要約したものをご紹介したい。
【自転車を対象にした危険行為の規定】
1.信号無視
2.自転車の通行禁止道路の走行
3.歩行者専用道の自転車による走行
4.車道の右側や、右側路側帯の走行
5.自転車が走行可能な路側帯で、歩行者を妨げる走行
6.警報機が鳴っている遮断踏切への立ち入り
7.信号のない交差点で、左から直進するクルマの走行に対する妨害
8.交差点を直進、または左折しようとするクルマの走行に対する妨害
9.環状(ドーナツ状)交差点を走行するクルマの妨害
10.一時停止線の無視
11.自転車も走行可能な歩道での歩行者妨害
12.ブレーキ不良やその装置がない自転車での走行
13.酒酔い運転
14.スマホ、傘などを使用しつつ走行する安全運転義務違反
特に誤認されやすいのが「4」だ。道交法(第17条)では、「車両は、道路の中央から左の部分を通行しなければいけない」とある。これに関しては、クルマ、自転車ともに認識が薄く、トラブルの原因にもなりやすい。なので少々ご説明したい。
「レーンのど真ん中を走る自転車」は、○か×か?
中央線(センターライン)のない対面通行の道の場合には、「車両」は道の「左部分」(左端)を走行しなさい、と道交法には書かれている。「車両」には自転車も含まれる。例外事項も多く記載されているが、基本的にはクルマも自転車も「右端を走ってはダメ」という意味だ。
また、軽車両である自転車は、車道での走行が原則。そのため中央線がある片側1車線の場合には、自転車もクルマも左車線を走行しなければならない。つまり右車線を「逆走してはダメ」ということだ。これも常識の範囲で理解できる。
では、片側1車線の対面通行の場合、自転車は左車線の「どこ」を走るよう定められているか? もしや自転車はクルマと同じく、車線内のど真ん中を走行してもよいのだろうか?
道交法を読んでも、それを禁じる記載はない。道交法を補足する「自転車安全利用五則」(平成25年6月14日公布、12月1日施行)というものがあるが、その内容を熟読しても、やはり明確な記述はない。つまり、片側1車線の対面通行の場合、その車線(車両通行帯)におけるど真ん中を自転車が走ることは許されている。違反ではないのだ。
筆者がこの点を警視庁に確認した際も、「自転車は左車線の“左端”を走行してください」と言われたのを覚えている。道交法の内容を問うているのに、「してください」という担当警察官の物言いに「?」と思ったのだが、警察も自転車雑誌も自転車の安全を推奨する立場にあるので、それに協力する記事を書いたのだが……。
もし片側1車線の車道中央を走行する自転車に対して、後ろからクラクションを鳴らしたら、そのドライバーこそが「煽り運転」を行ったことになる。
こうしたケースの場合、路側帯があるか否かもポイントになる。片側1車線以上の道路に「路側帯(白い実線が1本)」がある場合、自転車は車道とともに路側帯も通行できる。また、車線(車両通行帯)と路側帯を分ける実線が2本の場合は、その路側帯は歩行者専用だ。つまりそこを自転車は走行することはできないので、やはり車道のみを走行することになる。こうしたルールをドライバーも認識しておきたい。
さて、上記は「中央線がある片側1車線」のケースだが、では「片側2車線以上」の場合、自転車はどこを走るべきか?
この場合、原則としては「一番左側の車線」を走行しなければいけない。その車線(第一車両通行帯)が駐車車両、工事などで塞がれていなければ、渋滞中であっても自転車は、左から二番目の車線には入ってはいけないのだ。
コメント
コメントの使い方