人気ジャンルに激震! この時代にまさかのデミオ排気量増量 その思惑と最優秀車

 コンパクトカーといえば、いま日本で最も売れているジャンルのひとつ。e-POWERで話題のノートやフィット、スイフト、デミオなど多くの人気車がひしめいている。

 そんななか2018年8月にデミオが改良を実施。この改良でデミオは、なんとガソリンエンジンの主力だった1.3Lを廃止し、価格据え置きで1.5Lへ一本化するという大胆な変更を行ってきた。

 これを“大胆な”と言うのには訳がある。

 例えば、フィットは1.3Lと1.5Lエンジンをともにラインナップするが、販売構成比は51%が1.3L車、ハイブリッド車が45%と続き、1.5L車は僅か4%に留まる。デミオも1.3Lのガソリンエンジンが約80%、1.5Lディーゼルが約20%となっていた(ともに各社公表値)。

 このデータからもわかるとおり、コンパクトカーのエンジン排気量は1.3L程度が主流。それゆえ、デミオの決断は大胆に映る。

 デミオが排気量アップを敢行した背景には、どのような狙いがあるのか? そして、選択肢豊富なコンパクトカーのなかで、今“買い”といえるモデルはどれなのか!?

文:渡辺陽一郎 写真:編集部
ベストカー 2018年10月26日号
(※編集部注/デミオのトランスミッションに関して一部事実誤認がありましたので当該部分を削除・修正いたしました。大変申し訳ありませんでした。2018.10.22 8:00)


懸念はあるか!? デミオが排気量アップしたワケ

こちらは従来から設定のあったデミオ「15MB」。これまでデミオは同グレードを除き、1.3Lガソリンと1.5ディーゼルエンジン車をラインナップしていた

 デミオが排気量を増やした理由は2つある。

 まずは実用回転域を中心に動力性能を高め、走りを滑らかにすることだ。最高出力と最大トルクは、発生回転数を変えずに、数値を約1.2倍に高めた。動力性能がバランスよく向上しており、また、MTは改良前が5速、改良後は6速だから、加速力がさらに強まった。

 それでも1.3Lを廃止して1.5Lのみにするのは勇気のいる決断だ。コンパクトカーの顧客には「1.5Lは1.3Lよりも価格が高く燃費は悪い」という認識が多い。1.5Lのみでは、実用燃費や価格が変わらなくても顧客を逃す心配が生じる。

 このリスクがあるのにマツダが排気量を増やしたのは、フィットやヴィッツとの競争を避け、マツダらしい走りのよさを売り込むため。

 もともとデミオは後席と荷室が狭かったが、走行性能、前席の座り心地、内装の質は高かった。この長所をより引き立たせ、勝負に出る手段のひとつが排気量の拡大だ。

 なお排気量を増やすと燃費が心配だが、改良前の表示はJC08モード、改良後はWLTCモードだから一概に比べられない。マツダは排気量の拡大で効率のいい回転域を有効に使えるから、実用燃費の向上に貢献するとしている。

 値上げも心配だが、装備がほとんど変わらない「15C」と「15S」は価格を同額にした。気筒数やメカニズムが同じなら、排気量を増やしても、生産コストにほとんど差は出ない。200ccの排気量拡大は価格に影響を与えていないのだ。

計15車種! コンパクトハッチで今買いのモデルは?

定番コンパクトのフィット。優れたスペースユーティリティに加え、1.3Lと1.5Lガソリン、そしてハイブリッドとパワーユニットの選択肢も豊富だ

 デミオが1.3Lを廃止し、ガソリンエンジンは1.5Lに一本化した一方、フィットやノート、スイフトなど複数のパワーユニットをラインナップする売れ筋コンパクトも多い。

 また、ひとつのエンジンしか選択肢のない車種でも、複数のグレードを用意しているケースがほとんどだ。

 では、そうした多岐にわたるバリエーションのなかで、今“買い”といえるモデルはどれか? 全15車種のコンパクトカーのなかから推奨グレードをピックアップして紹介したい。

◆  ◆  ◆

 最近は軽自動車が新車として売られるクルマの37%前後を占める。これに伴ってコンパクトカーは売れゆきを下げた。

 設計の古さも目立ち、主力車のヴィッツは発売から8年、ノートは6年、フィットは5年、キューブは10年を経過する。販売不振も当然だが、改良は定期的に受けており、優れた実用性は健在だ。

 推奨度の最も高い車種はフィットだ。後席の足元空間は、前後方向がLサイズセダン並みで、燃料タンクを前席の下に搭載するから荷室容量も大きい。全高は立体駐車場で使いやすい寸法に抑えている。

 1.3Lエンジン車の走りは軽快で、乗り心地は少し硬いが不快ではない。燃費もよく、安全装備のホンダセンシングも先進的で、趣味性を求めなければフィット「13G・Lホンダセンシング」は買い得だ。

オーソドックスな売れ筋コンパクトと異なり、ミニバン風で室内空間第一の設計が光るソリオ。直近の2017年9月も4000台超を売り上げる人気車だ

 この実用性をさらに高めたのがソリオになる。全幅は1625mmだから小型車のなかではかなり狭く、混雑した街中でも運転しやすい。そのいっぽうで全高は1700mmを上まわり、車内は抜群に広く自転車も積みやすい。スライドドアも備わり、2列シートのミニバンという印象だ。

ポルテは2012年登場と若干古いものの、プチバンの先駆的存在。助手席側にスライドドアを採用するユニバーサルデザイン車だ

 ポルテ&スペイドも注目される。左側には1枚のスライドドア、右側は2枚の横開きドアを備え、左側は開口部の床面地上高が300mmと低い。助手席の乗降性は抜群によく、高齢者に優しい。助手席を畳み、後席の座面を持ち上げると、スライドドアから車内の中央に荷物を積める。

 以上が実用指向の注目車だが、趣味性の強い車種も選べる。デミオは1.5Lのクリーンディーゼルを搭載して、実用回転域の駆動力は2.5Lのガソリンエンジン並みだ。直進安定性も優れ、乗り心地に重厚感が伴う。内装の質、シートの座り心地もよく、運転感覚はアクセラなどのミドルサイズに近い。

欧州でも通用する王道コンパクトのスイフト。パワーユニットは1.2LのNA、1Lターボに加えハイブリッドもあり多彩だ

 スイフトは軽量化を徹底させ、峠道を機敏に走る。軽いために安定性も優れ、修正操作もしやすい。昔の軽かったスポーティカーを思い出す。

 キューブは天井の高い車内を和風で仕上げ、ガラスルーフにはSHOJI(障子)シェードを備えて車内を柔らかな光で満たす。

 コンパクトカーには、いろいろな性格の車種が揃っているのだ。

◆コンパクトハッチ 全15車種の推奨グレードと評価

・ホンダ フィット 13G・L ホンダセンシング(165万3480円)/★★★★★
・スズキ ソリオ ハイブリッドMX(※178万9560円)/★★★★★
・トヨタ ポルテ&スペイド F(187万9200円)/★★★★☆
・日産 ノート e-POWER X(202万1760円)/★★★★☆
・マツダ デミオ XDツーリング(199万8000円)/★★★★☆
・スズキ スイフト ハイブリッドRS(169万1280円)/★★★★☆
・トヨタ アクア S(188万6780円)/★★★☆☆
・トヨタ ヴィッツ 1.3F(148万1760円)/★★★☆☆
・日産 キューブ 15X(162万円)/★★★☆☆
・スズキ イグニス 4WD ハイブリッドMX(※173万5560円)/★★★☆☆
・トヨタ パッソ X・LパッケージS(131万7600円)/★★☆☆☆
・トヨタ タンク&ルーミー X・S(152万8200円)/★★☆☆☆
・三菱 ミラージュ G(148万5000円)/★★☆☆☆
・スズキ バレーノ XT(172万8000円)/★★☆☆☆
・日産 マーチ X・Vセレクション(137万5920円)/★☆☆☆☆

※セーフティパッケージ装着車。渡辺陽一郎氏が5段階で評価

最新号

ベストカー最新号

【次期クラウンはマツダとコラボ!?】トヨタ巨大提携で生まれる新車|ベストカー 12月10日号

 ベストカーの最新刊が本日発売!  最新号では、トヨタと国内メーカーとの巨大提携によって生まれる新型車の重要情報をお届け。ベストカースクープ班が独占入手した情報を詳しく紹介する。   そのほか、ダイハツロッキー&トヨタライズDebu…

カタログ