バスは基本的に後輪駆動だが、雪国や山道での営業もある以上、四駆動輪(4WD)など、2WD以上の駆動方式を持つモデルの需要もありそうだ。今回はバスの駆動方式に迫る!
文/写真:古川智規(バスマガジン編集部)
【画像ギャラリー】海外で活躍する日本のマイクロバスと不思議なバス(5枚)画像ギャラリーバスの走行シーンには現状で十分だから
バスに四駆がない理由はズバリ「その必要がない」からだ。大型バスの場合、ディーゼル大排気量のエンジンは後ろに置かれていて、駆動輪も後輪なのでリアエンジン・リアドライブでRRということになる。
全体の車重も重いがエンジンも重い。さらに後軸よりもはるか後方にエンジンとエンジン補器類など多くの重量物が搭載されているというレイアウトだ。よって大型バスの場合は駆動輪に十分な荷重がかかるため、RRが最もトラクションを伝えやすい効率の良い方式だといえる。
乗用車の場合はかつてはFRが主流でスポーツカーにはミッドシップというのもあったが、現在では高級サルーンを除いてほぼFFなのとは目的が異なるとはいえ対照的だ。
旅客を乗せるバスは雪国では冬用タイヤ+タイヤチェーンなどの滑り止め具を準備し、そうでない地域でもチェーンを用意して、必要時には必ず装着するので四駆である必要はないということのようだ。
また仮に四駆にするとおそらくノンステップバスは製造できない。正確には四輪ではないのだが、それはこの際おいておくとしても、需要がないので作らないということだろう。
さらにもう一つの理由として、日本は道路環境が良好で、バスが舗装路以外の悪路を走ることがまず無いということもある。ぬかるみを走破する路線があるのであれば別だが、日本ではオフロード走行をする路線もクロスカントリー走行をする路線もない。
しかしマイクロバスにはあった!
とはいえ、マイクロバスには4WDがある。三菱ふそうのローザだ。バス用シャシーとしては日本で唯一の四駆バスで、一時はラインナップから外れながらも復活し、雪国での送迎車やキャンピングカーのベース車、または海外では軍用として使用されている。悪路走破もありうる海外での需要も多く、輸出仕様が存在しミニバスなどの路線車として活躍している。
東南アジアではトラック(日本のマイクロバス)のようにキャブオーバーの大型バスが数多く存在し、トラックのシャシーを流用して路線バスのボディーを架装したので客室が不自然に高床になったバスや、無理やり新幹線のような5列シートにしたものなど、面白いバスがたくさん走っている。
よく観察してみると元車が四駆のトラックをベースにした改造バスだったり、需要による魔改造四駆バスなども見つかるかもしれない。
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