「やればできる!!(確信)」日産は今こそコンパクト3列シート車を復活させてください!!

「やればできる!!(確信)」日産は今こそコンパクト3列シート車を復活させてください!!

 2022年8月23日、トヨタの人気コンパクトカー「シエンタ」に新型が登場した。シエンタ属する3列シートコンパクトカージャンルは日本で大人気のカテゴリであり、長らく、シエンタとホンダ「フリード」の2強対決となっている。

 かつては日産にも、「キューブキュービック」という3列シートコンパクトカーがあったが、キューブキュービックが2008年に廃止となったあとは、この人気ジャンルに参戦すらしていない状況。シエンタもフリードも、強力なライバルではあるが、「出せば売れる」人気ジャンルに、なぜ日産は参戦しないのか。何か、出せない理由でもあるのだろうか。

文:吉川賢一
写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA

【画像ギャラリー】大人気の3列シートコンパクトカー!! トヨタ新型「シエンタ」とホンダ「フリード」 かつて存在した日産「キューブキュービック」(24枚)画像ギャラリー

年間15万台規模の需要がある大人気カテゴリ

 1990年代後半から普及し始めた3列シートミニバン。ファミリー層を中心に人気が集まり、2000年以降、一大ブームが巻き起こった。ストリーム、ウィッシュ、ラフェスタ、ステップワゴン、ノア/ヴォクシー、セレナ、エルグランド、オデッセイ、アルファードなど、様々なサイズの3列シートミニバンが登場した。

 これらミニバンの中でも、子育て層から絶大な支持を集め続けてきたのが、フリード(先祖はモビリオ)やシエンタのような、コンパクトなサイズの3列シート車だ。全長4300m、全幅1700m、全高1700m程度というコンパクトなボディサイズながら両側スライドドアをもち、3列目シートも、「緊急時はこれならば十分」と感じられるギリギリの広さを持っている。小回りがきき、運転もしやすいので、運転が不慣れな方にもやさしい。また、車内は広く、乗り降りもしやすくて、荷物もたくさん積める。しかも価格もミドルクラスミニバンよりも安く、見た目もよく、4人家族にはちょうど良いパッケージングだ。

 実際、2019年には、フリード85,596台/シエンタ110,880台、2020年にはフリード76,287台/シエンタ72,689台、2021年にはフリード69,557台/シエンタ57,802台と、登録車販売台数で常に2台ともTOP10入りをする売れ行きをみせている。こんなに売れているジャンルであるにもかかわらず、日産はモデル投入すらしていない。

 ちなみに、インドネシア日産には、かつて、初代ノート(E11型)をベースとした3列シート7人乗りのMPV「リヴィナジェニス」が存在した。現在は2019年に後継車の「リヴィナ」へとフルモデルチェンジをしている。リヴィナのフロントフェイスは現代の日産デザインそのもので、ちょっとカッコよいのだが、3列目にちゃんと座れるシートを用意したことで、全長は4510mmと、若干長い。

日産インドネシアで販売中の2代目リヴィナ。3列シートのコンパクトミニバンだ。後席はヒンジドアとなっている

国内専売車を「セレナ」のみに絞った流れが、いまも続いている

 日産の3列シートコンパクトを考えるうえで外せないのが、キューブキュービックの「失敗」だ。2002年10月に登場した2代目「キューブ」から遅れること11ヵ月の2003年9月、日産は、キューブのホイールベースを170mm伸ばし、折り畳みできる3列シートを装備した「キューブキュービック」を追加した。おそらく日産としては、このキューブキュービックを、当時すでに売れっこだったモビリオやシエンタの対抗馬にするはずだったのだろう。しかし結果は、見事に撃沈。

 キューブキュービックは、ホイールベースを伸ばしたといっても、全長3900mm程度(キューブは全長3730mm)と短く、3列目はエマージェンシー用としても使用に堪えない狭さ。3列目に座るには、2列目も最前へずらさねばならず、そうすると、2列目も膝がつっかえる状況。さらに後席ドアはスライド方式ではなくヒンジ式と、使い勝手の面でも不十分であり、ライバル車とは、勝負にならなかったのだ。

 ホイールベースをもうちょっと延ばすことはできたのだろうが、これは筆者の想像だが、おそらく日産は、完璧なまでに完成された(と日産が認識した)「四角いデザイン」の2代目キューブから、縦横比のデザインバランスを、崩したくなかったのだろう。当時の日産は、中村史郎氏を先頭に、日産車のデザイン改革の真っ最中。胴体が異様に伸びたキューブキュービックはカッコよいとは考えられず、「キューブ(=立方体)」たるデザインバランスを保つためには、キューブキュービックの伸ばし具合が、ぎりぎりだったのだろう。

 だが、実用性を求めるユーザーには全てを見透かされ、「まったく使えない3列シートコンパクト」と見なされたことで、売れ行きは低迷。一矢報いるどころか、失敗に終わってしまった。

 加えて、当時(2010年ごろ)の日産は、北米や中国といった海外市場で成長軌道に乗ったことで、海外に力を集中し、国内市場へのリソースが不足。国内専売モデルの開発は「セレナ」のみに絞ることに。当時、日産の開発部隊にいた筆者も、日本向けプロジェクトよりも、海外市場向けプロジェクトがはるかに多いことは、ひしひしと感じていた。

 また、軽自動車開発へも着手したことで、コンパクトカー開発は、「マーチ」や「ノート」といったグローバルモデルのみに縮小。その流れが今も続き、国内専売の3列シートコンパクトを開発するタイミングを逸している、というのが実情だと考えられる。

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