酷暑日の日向に駐車するとわずか10分で車内の気温は70度以上に達してしまいます。ETCカードは入れたままにしておくと変形してしまう恐れがあります。ドラレコに関しても80~85度で故障する恐れがあるそうです。
またコロナ禍でよく使われているアルコール除菌ですが、有効とされるアルコール濃度70~95%の場合、蒸発しやすく、引火しやすいため車内に置きっぱなしにすると危険です。炭酸水にしても破裂する危険があります。
身近なものをうっかり車内に置き忘れた場合にどうなるのか? 機器よりも中のICカードが溶けるのでは? いやカード自体は大丈夫なのか? モータージャーナリストの高根英幸氏が回答します。
文/高根英幸、写真/ベストカー編集部、AdobeStock(トップ画像=DimaBerlin@AdobeStock)、ACリンク
■真夏の車中は別世界(地獄的な意味で)
今年の夏は曇りが多く、ここ数年の中では比較的過ごしやすいようにも思えるが、猛暑日は過去最高に多く暑い日は増えている。クルマの室内の快適さを考えるなら最高気温だけでなく、日照自体も大きく影響を与える。
クルマはガラス張りの温室のようなものだから、外は涼しくても直射日光が降り注げば、短時間に車内の気温は急上昇する。
クルマの室内装備自体は厳しい耐久テストを繰り返すことで、高温下での耐久性や信頼性を確保しているが、繰り返しの灼熱地獄は素材を劣化させていくし、内外装にもダメージを与えてしまう。
それよりも気をつけたいのが、車内に置いておくモノによる危険性だ。
スプレー缶はもちろんのこと、炭酸飲料のペットボトルや缶も危険だ。高温下での使用はもちろん保管も想定されていない商品ばかりで、最近の酷暑での車内温度など完全な想定外なのである。
最近は喫煙者も少なくなってきたが、使い捨てのガスライターも車内で破裂事故を起こすことが増えているようだ。分厚いプラスチックで出来ているライターのボディは頑丈そうに思えるが、異常な高温となる車内では内部のガス圧上昇に耐え切れずに爆発するのだ。
コロナ禍でクルマでの移動機会を増やしている人も多いが、アルコールを多く含んだ除菌用品も灼熱地獄の車内では危険なモノとなる。
ウエットティッシュタイプのものなら、アルコールが揮発して膨張し、袋やケースを破いて外部に噴出する程度で済むが、ジェルタイプは破裂すると四方八方にジェルを撒き散らすことになって、シミや変色、劣化の原因になる可能性もある。
これは、さらに発火性のあるモノと組み合わされば爆発、火災へとつながる恐れもある。
室内で破裂して掃除が大変なだけならまだいいが、可燃性のある物質が撒き散らされることにより、火災が発生、クルマが燃えてしまったり、周囲に停めているクルマや建物が延焼してしまったりすれば、とてつもない損害が発生する。
自動車保険に入っていれば大丈夫、と言えるものではないので、気をつけたいところだ。
同じように車内で火災を発生させる危険物としてスマホやモバイルゲーム機、モバイルバッテリーなどの電子機器がある。これは日本ではまだあまり意識していない人も多く、盲点だったりするので注意してほしいのだが、リチウムイオンバッテリーを採用している機器だ。
スマホなどは本体が高温になると「高温注意」の表示が出て、使えなくなることがある。空調を効かせていてもダッシュボードの上に置いておくだけで、日差しによって熱せられて高温になってしまうことも珍しくない。
だからと言ってエアコンのダクト前に置いて冷房で冷やし続けるのも要注意だ。内部が結露によってショートしてしまう可能性もある。
また一時的に使えなくなるだけならいいが、リチウムイオンバッテリーは温度が上昇すると電解液が揮発してバッテリーパックを膨張させてしまうだけでなく、熱暴走により発火する危険がある。つまり充電式の電池を内蔵している電子機器は全て車内に置いておくと危険な代物なのだ。
リチウムイオンバッテリーは、エネルギー密度が高く携帯する電源としては非常に便利だが、同時に危険性も抱えていることを忘れないようにしたい。
コメント
コメントの使い方毎日高速道路を走る訳じゃないから、いつもカードは抜いているね。
高速道路を使う時だけ挿している。