ブルーバードに設定された伝説の「SSS」
日産にとって双璧といえる歴史のあるネーミングの一方である「GT-R」は今でも存在するので良いのだが、一方の「SSS」は消滅してしまったことが惜しいと思わずにいられない。
その「SSS」誕生のいきさつというと、1965年に登場した410ブルーバードにおいて、「スポーツ・セダン」を意味する「SS」というグレードを設定したのがことのはじまり。
これは当時、海外でセダンに強力なエンジンを積み足まわりを強化したセダンが流行っていたことを受けてのものだ。
ところがそれでも販売は伸び悩み、日産ではマイナーチェンジでさらなる強力な「スーパー・スポーツ・セダン」を送り込んだ。これが「SSS」だ。その次期モデルである510ブルーバードでは、サファリラリー三冠という快挙を成し遂げた。
その後、SSSはブルーバードの走りの代名詞として連綿と続き、U14型がモデルライフを終える2001年まで存在した。
ただし、SSSはスポーティモデルとして位置付けられていたものの、U13型では「Sophisticated Sporty Sedan」、そのひとつ前のU12型ではデザインのコンセプトを示す「Simple Slim Smoothed」という意味合いで用いられていた。
今のシルフィではSSSを名乗るわけにはいかないのはわかるが、実は海外にはスポーティなシルフィもあったりして……。
S2000やインテグラに設定された「タイプS」
タイプRまでいかないなかで、スポーティテイストを与えたモデルに設定されたのがタイプSで、位置づけとしては、SiやSiRの生まれ変わりといえる。これまで、NSX、S2000、インテグラ、プレリュード、アコードなどに設定されてきた。
エンジンには手が入れられていないが、スポーティな形状のエアロパーツが装着されるなど、標準モデルとの識別は一目瞭然。シャシーが専用にチューニングされていて、ドライブフィールもスポーティになっている。こういうグレードを好む人は少なくないと思われる。
ちなみに、北米でもアキュラブランドの主要モデルでタイプSが復活している。日本でも、設定するに相応しい車種があまりパッと思い浮かばないところだが、S660あたりにあると面白いのでは。
超刺激的! ストーリア、ブーンの「X4」
かつて日本車にはこうしたホットグレードがいくつかあった中でも、「X4」はかなり特殊な部類に属する。ダイハツのストーリアと後継のブーンに、どちらも日本でのラリー参戦を念頭に競技向けのベース車として設定されたもので、なによりもエンジンの排気量が特徴的だ。
ストーリア X4は1000cc以下クラスのラリー参戦を目的として、当時は1.4だった過給係数を鑑みて軽自動用エンジンを713ccまで排気量を拡大。
一方のブーン X4は、前身のストーリア X4があまりに強すぎたため過給係数が1.7に変更されたことを受けて、1600cc以下のクラスへの参戦を想定して936ccとされた。こちらはYRV用の1.3Lエンジンを縮小したものだ。
特筆すべきは最初のストーリア X4の初期モデル(平成10年排ガス規制車)で、一般的には1kg/cm2台前半にとどまる過給圧をタービンのアクチュエーターに備わる調整ナットをいじると簡単に2.55kg/cm2までブーストアップできた。いくら競技向けとはいえ市販車でそんな数字は前代未聞という狂気のエンジンだったのだ。
ちなみに「X4」はJAF登録車両につき日本国内の競技のみ参戦可能で、WRCのようなFIA主催の国際競技には参戦できない。また、OEM供給されたトヨタ版のデュエットやパッソにはX4に相当するグレードの設定はなく、ダイハツ版のみだった。
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