2025年の日本の自動車業界はまさに「激動」。大手の経営危機からトランプ関税、中国BEVの躍進など、日本メーカーを脅かすさまざまな要因がある中で、各社はどう立ち向かっていくのか。3名の評論家陣が歯に衣着せぬ激論を交わす!!
※本稿は2025年6月のものです
文:国沢光宏、鈴木直也、渡辺陽一郎/協力:永田恵一/写真:日産、マツダ、ホンダ、スバル、三菱、ダイハツ、スズキ、トヨタ、レクサス、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年7月10日号
国産8メーカーの今
討論のテーマは、「国産8メーカーの現在の評価」について。
2025年5月に発表された通期の決算発表内容や新車販売状況、過去からの積み上げなど、さまざまな情報をもとに評価。また、トヨタ一強と言える現状も分析する。
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ベストカー:そもそも、トヨタの強さとは? なぜダントツなのでしょうか?
鈴木:それはやることをちゃんとやっているというか、真っ当だから。もっと言えば、ほかがちゃんとしていないだけかと。
国沢:結局社長の資質。
鈴木:社長の比重は大きい。
国沢:社長だけで決まらないのはホンダくらいかな。
鈴木:今のトヨタがあるのは長い歴史の結果でもあって、トヨタは初代クラウンが出た黎明期の1950年代から全体的に大きなミスというのはなかった。
それに対し対照的なのが日産で、日産ってバブル期を筆頭にいい時期もあったけど、それよりずっと低迷期も長い。
国沢:日産はオウンゴールでしょ。
鈴木:つまりダントツで経営者がダメ。まともな経営者はほとんどいない。それでも実質的には破綻していた1999年の時を含めて、まだ会社が存続しているんだから逆に大したもの(笑)。
国沢:まあ三菱もオウンゴールだった時期が何度かあったけどね。日産で言えば、内田(誠)さんの残念具合でしょ。
鈴木:僕からしたら内田さんはまだマシなほうで、1970年代後半に就任した石原 俊さんが一番ひどかった。
国沢:石原さんが社長になるまで、日産はトヨタとイーブンでしたよね。
鈴木:自動車会社なんだから、いいクルマを揃えることで業績が上がるのが普通でしょ? なのに、トヨタに押され始めた時期に、石原さんが自信満々に展開したキャンペーンって、宣伝の強化だった。これが象徴的で、日産ってクルマに注ぐ力が薄かったよね。
渡辺:僕はトヨタの強さには、メーカー直営ではない地場資本のディーラーの多さが相当関係しているかと。
地場資本のディーラーが多い利点って、直営ディーラーを持たないことによる経営的なリスク回避に加えて、メーカーと販社が別会社だといい意味での緊張感があるというのが大きい。
つまり売れないクルマに対するコンプレインは力関係もあって、直営ディーラーより地場資本のディーラーからのほうがはるかに強い。それがいいクルマ、売れるクルマができる地盤になっていると思う。
鈴木:確かに社長が定期的に変わる直営ディーラーと、地元の名士が真剣に経営する地場資本のディーラーだったら、どっちの社員が真剣に働くかは一目瞭然だよね。
国沢:ディーラーの件は、それはそれとしても、昔のホンダなんて営業ズタズタだったけど、それでもクルマがよければお客さんが買いに来て売れるわけで、鈴木さんの言った「商品が資本」というのは大原則でしょう。
全盛期のレガシィやパジェロなんてトヨタとは販売力が話にならなくても売れたわけで。今トヨタが独り勝ちなのは、クルマがよくなっているというのが非常に大きい。


























コメント
コメントの使い方何を言っても、ユーザーが欲しいと思った商品を、出せる会社が残っているでしょう。
日産は、自分たちが作りたい車だけしか販売してない、ユーザーを向いてない。
だから、ユーザーからそっぽを向かれている。「殿様商売」の極み。
値引きで気を引こうとしているが、欲しいものが無い。再建は難しい。