ノア、N-BOX、86、ハスラー… 先代と外見瓜二つの「静かな変革」 キープコンセプトの是々非々

■ホンダ N-BOX

 かつてのホンダ車は、フルモデルチェンジでコンセプトを大きく変えることが多かったが、最近はキープコンセプトが目立つ。その代表がN-BOXだ。先代型が大ヒットして、この特徴を継承するフルモデルチェンジを実施した。

 「先代型が好調に売れたから失敗を恐れて変えられない」事情もあるが、それだけではない。軽自動車は生活のツールだから、使い慣れると、ユーザーも大きな変化を希望しないのだ。

現行型はコンパクトカーの需要まで奪う存在に。キープコンセプトのお手本的存在に
現行型はコンパクトカーの需要まで奪う存在に。キープコンセプトのお手本的存在に

 使い慣れた調理器具の形状が頻繁に変わったら困るだろう。これと似たことが軽自動車にも当てはまる。

 ただし漠然と従来型を踏襲したわけでもない。現行型が好調に売れることは充分に予想できたから、内装の造り、乗り心地、静粛性、安全装備など、上質感や安心感を高める部分には、高いコストを費やして確実に向上させている。(TEXT/渡辺陽一郎)

●ホンダ 先代N-BOX 年別月販平均台数
・2013年:1万9583台
・2014年:1万4994台
・2015年:1万5410台
・2016年:1万5531台
・2017年:1万8207台

●ホンダ 現行N-BOX 年別月販平均台数
・2018年:2万156台
・2019年:2万1125台
・2020年:1万6332台
・2021年:1万5745台
・2022年:1万7293台

結論…「ナイスキープ」!!

■ホンダ N-ONE

 ホンダN-ONEは2代目でプラットフォームを一新したが、ボディパネルやガラスなどは先代のものを引き継いだ。フロントマスクなどのデザインは変えているが、ちょっと見では新型か旧型かわかりづらい。

 先代の後半より販売台数は伸びている。だが、地味なデザインで、登場から丸3年になるN-WGNや商用のN-VANより売れていないのは、エクステリアに新鮮味がないからではないか!?

先代からデザインはほぼ変わらないが、ホンダセンシングなど最新装備を搭載、進化した
先代からデザインはほぼ変わらないが、ホンダセンシングなど最新装備を搭載、進化した

 ボディ外板に同じパーツを用いてカネをかけなかったのだから、違うフロントマスクを用意してもよかったように思う。N-ONEは男っぽい顔立ちのデザインだからカワイイ系の顔やクラシックマスクがあれば、違う層のユーザーを獲得でき、販売台数を上乗せできただろう。

 販売の4割は安価な「オリジナル」が占めているのだから、顔違いのN-ONEの投入はアリだ。(TEXT/片岡英明)

●ホンダ 先代N-ONE 年別月販平均台数
・2013年:8965台
・2014年:2905台
・2015年:1902台
・2016年:1438台
・2017年:1088台
・2018年:1363台
・2019年:1289台
・2020年:530台

●ホンダ 現行N-ONE 年別月販平均台数
・2021年:1744台
・2022年:1813台

結論…オシイ!! ギリギリ「非」です!!

■トヨタ GR86

 エクステリアはキープコンセプトだが、初代より洗練されたデザインになり、見栄えもよくなっている。フロントビューは精悍なルックスになった。リアビューも目を引くデザインだ。

 パワーユニットも排気量を400cc拡大したからパンチが増し、扱いやすくもなった。低回転域からパワーとトルクが盛り上がり、余裕を感じる。6速MTと6速ATも、変速する楽しみが大幅に増した。

排気量アップによるパワーアップなど、先代で挙がっていた不満を解消した現行GR86
排気量アップによるパワーアップなど、先代で挙がっていた不満を解消した現行GR86

 また、ボディ剛性の強化やサスペンションの見直しなどにより、自慢のハンドリング性能に磨きがかかっている。先代以上にGR86とBRZの味つけを変えたことも好印象だ。選択の幅が増えた。

 この先は細部をリファインし、さらに操る楽しさを増す方向に持っていってほしい。エンジンをダウンサイジングするなど、買いやすいエントリーモデルがあってもいいかな。(TEXT/片岡英明)

●トヨタ 先代86 年別月販平均台数
・2013年:1034台
・2014年:682台
・2015年:557台
・2016年:547台
・2017年:597台
・2018年:412台
・2019年:386台
・2020年:328台

●トヨタ 現行GR86 年別月販平均台数
・2021年:1017台
・2022年:1367台

結論…「ナイスキープ」!!

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