ギアをいきなり「P」や「R」へチェンジしても減速効果は期待できない
ワイヤーやロッドとトランスミッションがつながっている従来シフトのAT車では、トランスミッションのロック機構を破壊する覚悟であれば、走行中にギアを「P」や「R」にすることで、クルマを無理やり減速させることは、できなくはありませんでした。ただ、急減速ができたとしても、スピンをしてしまったり、走行不可となってしまう恐れがあるため、一切おすすめはできません。
一方、E-PKBが備わる電制シフターのクルマでは、ロックピンの作動が電制化されており、走行中にPに入れたとしても、システムが「誤操作」と判断し、ギアがロックされることはありません。つまり、ブレーキが利かないからといって、いきなりギアを「P」に入れても、減速の効果はほとんど期待できないのです。また、エンジンをオフにするのもNGです。油圧パワーステアリングの場合だとパワーステアリングが効かなくなり、緊急回避が困難になってしまいます。
最後の手段は、緊急避難場所へ突っ込む
電動パーキングブレーキを引き上げ続けても止まることができない場合は、最終手段として、道路脇に設置されている緊急避難所があればそこへ突っ込むか、ガードレールや路肩に車体を擦りつけて、強引にクルマを停止させます。
緊急避難所は、土や砂利で坂がつくられており、クルマの勢いをうまく受け止めてくれるようになっています。またガードレールで減速するならば、ガードレールとクルマとの接触面積が増えるよう、ボディの側面全体を擦り付けるようにしてください。そして、同乗者がいる場合には、事前に、足を突っ張ってシートベルトを握りしめ、頭や体を守るように声をかけ、覚悟を決めて身構えてもらってください。できれば車両転覆が起きやすいコーナーではなく、直線の場所で止まりたいところです。
クルマを止めたらガードレールや路側帯側へハンドルを切り、他車を巻き込むような2次災害に発展しないよう、備えます。ギアをパーキングにすることもお忘れなく。
◆ ◆ ◆
フェードやべーパーロックだけでなく、クルマに何らかのトラブルが起き、ブレーキが機能しなくなる可能性は、ゼロではありません。もしもトラブルが起きたとしても、落ち着いて冷静に必要な行動がとれるよう、普段からイメージしておくこと、そしてなにより、フットブレーキを酷使するような運転は避けるようにしてください。
【画像ギャラリー】最近のクルマはサイドブレーキが消失!! いきなりブレーキが効かなくなったらどうすればいいのか??(6枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方