「終活を考えなくちゃいけない」
M氏によると、今回のGT-R 2024のハイライトは、日本の車外騒音規制に対応するマフラー前提の性能開発だったという。車外騒音は大前提となるため、やらざるを得ない状況であったが、最初に対策後のマフラーを装着したGT-Rは、「これはカローラか?」と思うほどのあまりの静けさだったという。「これはこれで面白いと思ったが、味のしないGT-Rはまずいだろう」ということで、車外に最低限のサウンドを出すように微調整をしたそうだ。なお、車内には、スピーカーでエンジン音を増幅して鳴らしているので、ドライバーが聞こえる音には変わりはないそうだ。
また、今回の2024モデルでは、電制ダンパーに使用しているGセンサーを最新型へ更新したそうだが、これによって、ダンパーのセッティングは一切いじっていないのに、乗り心地性能がまるっきり変わってしまったという。「最新式のセンサーの方が良いのでは?」と思ってしまうところだが、旧型のGセンサーの応答性でチューニングしてきたため、性能(分解能)が良すぎてもダメなのだという。「ひとつのパーツを変えることで、他性能に影響が及ぶことは理解していたけど、今回は乗り心地が良くなりすぎちゃったので、面白かったね。」とM氏は話されていた。
インタビューをするなかで、もっとも印象的だったのは、M氏が「(GT-Rをつくる者として)終活を考えなくちゃいけない」としていたことだ。「終活」の意味するところが、GT-Rというモデルの終活なのか、M氏のエンジニアとしての終活なのかは聞き出せなかったが、GT-Rエンジニアの口から出た「終活」という言葉に、GT-Rファンである筆者としては一瞬ドキッとさせられた。
現行型の引き際、次期型へのバトンタッチ、という意味か
ただ、開発責任者である川口CVEは、GT-Rの今後について「お客様から求められれば、我々は応えていく。」としている。世界的なジャパニーズスポーツカーバブルの影響もあって、出せばあっという間に売れるいまのGT-Rの状況を考えれば、GT-Rは、パワートレインを変えて、今後も続いていく可能性は高いと考えられる。
M氏が口にした「終活」は、現行のR35型としての引き際、次期型へのバトンタッチを考える、ということなのだろうと、筆者は理解した。ずっとR35型GT-Rに携わってきたM氏が、現行型が存命のうちに、エンジニア人生を終えるようには思えないからだ。
2025 モデルがあるのかどうかはわからないが、今後も日産のスポーツカー開発が続いていくためには、このR35型GT-Rの「終活」は非常に大事だと思われる。M氏がどのように、R35型GT-R引退の花道をつくり上げるのか、非常に楽しみだ。
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コメント
コメントの使い方フルモデルチェンジに近い大改修とか、終活とか言うけど、いまのモデルで15年売っとるんやで…
GTR好きだし速いのは分かるけど、さすがに飽きてくるから、いい加減モデルチェンジしようよ。