さらば日本の名門コンパクト!! 日産がマーチ絶版に踏み切ったのは「前へ進むため」…??

マーチをなくしたのは、日産が「前に進むため」

 単純に、マーチがもっと売れていれば販売終了にはならなかったといえばそうなのだが、マーチは、全く売れていないのかといわれると、とそうでもない。2022年の販売台数は8,200台と、ギリギリではあるが上位50位以内に入っている。人気のコンパクトSUVカテゴリーである三菱「エクリプスクロス」(7693台)や、マツダ「CX-3」(8,409台)に近い数字だ。

 日産は、2005年に新世代戦略のモデルとして「ノート」をリリースしている。時代に合わせた高効率パッケージとモダンなデザイン、質感の良いインテリアが特徴で、現在の日産を支える、基幹車種だ。このノートにコンパクトクラスの主力をスイッチした、というのが、マーチが廃止されたもっとも大きな理由なのだろう。ちなみに、ノートの2022年の販売台数は、110,113台。実にマーチの13倍だ。

 マーチはノートよりも小さいモデルではあったが、日本では軽自動車の需要が高いので、ノートよりも小さいモデルとしては、デイズやルークスがその役割を担うことができるし、バッテリーEVの「サクラ」もある。日産としては、これらよりもニーズが少なくなっていたマーチを、コストをかけて残すよりも、売れ筋モデルのさらなる進化や、ニューカマーの開発に投資したいと考え、マーチを廃止する決断に至ったのだろう。前進するためには、そこそこ需要があっても躊躇いなく整理するというのが、日産のひとつの戦略なのかもしれない。

進化した第2世代e-POWER専用モデルとして2020年に登場したノート。2022年の電動車販売で1位を記録するなど絶好調で、日産の電動化戦略に欠かせないモデルとなった
進化した第2世代e-POWER専用モデルとして2020年に登場したノート。2022年の電動車販売で1位を記録するなど絶好調で、日産の電動化戦略に欠かせないモデルとなった

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 「マーチ」という名は途絶えてしまったが、マーチは海外で「マイクラ」として、いまも元気に活躍している(海外のマイクラは、2017年にモデルチェンジしており、国内最終型となったK13型からK14型へとなっている)。

 また、次期型マイクラが小型バッテリーEVとして計画されており、日産とルノーが共同で新開発したCMF B-EVプラットフォームを使用し、ルノーからは「5(サンク)」、日産からは「マイクラ」として発売するという。次期型マイクラのティザー動画では、まるでK12マーチ(マイクラ)を彷彿とさせる楕円形のヘッドライトリングやキャビン形状がみてとれた。ボディサイズも、フィアット新型500(バッテリーEV)といった、Aセグメントサイズのようにみえ、スタイリッシュで先進的とはいえないが、最先端の中身とは対照的に、クラシカルな雰囲気をまとったオシャレでかわいいデザインのようだ。

欧州日産の会見で公開された、短いプロモーション映像からのスクリーンショット。LEDのヘッドライトと、デイタイムライトが光る正面顔のフォルムは、まさに「マーチ」だ
欧州日産の会見で公開された、短いプロモーション映像からのスクリーンショット。LEDのヘッドライトと、デイタイムライトが光る正面顔のフォルムは、まさに「マーチ」だ

 このモデルが、日本でマーチとして販売されるのでは? との期待もあるが、国内の小型バッテリーEVとしてはサクラがあることを考えれば、同じようなサイズのバッテリーEVを用意するほど日産に余力があるとは思えず、あまり期待をしないほうがいいだろう。ただ、次期マイクラにマーチを感じられることは、日産のマーチに対する敬意とも考えられ、よかったな、と思う。

【画像ギャラリー】とうとう生産終了に… 40年4世代にわたって愛された、日産「マーチ」(24枚)画像ギャラリー

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