EUの合成燃料エンジン許容で高まる期待! FC EXPOに出品された「トラック用水素エンジン」とは!?

合成燃料エンジンが許容されれば当面の本命に?

 この2社以外にも、米・欧・中をそれぞれ代表するような大手エンジンメーカーが、トラック用の水素エンジン開発に取り組んでいる。

 前述のハノーバーIAA2022では、アメリカの世界最大手エンジンメーカー・カミンズが予混合気オットーサイクル・筒内直噴オットーサイクル・筒内直噴ディーゼルと、3種の水素エンジン・コンセプトを発表した。また、イタリアのフィアット・パワートレイン(FPT)と、中国の■柴動力(ウェイチャイ・■はサンズイに維)は、それぞれ予混合気オットーサイクル水素エンジンのコンセプトを提案している。

 このうちカミンズでは、燃料電池(FC)こそトラック向けカーボンニュートラル技術の本命としているが、現時点では高コスト・短寿命・積載性への影響大といった理由から、FCの課題が解消されるまでの「CO2排出を極力抑えるつなぎ技術」として、水素エンジンを位置づけている。

 しかし「つなぎ技術」とはいえ、エンジンが動力性能や耐久信頼性で一定の完成度に達していることも確かで、その排気ガスを十分にクリーンにできる手段もある。また、既存の研究・開発リソースや生産インフラを活用できるため、FCよりはるかに低コストで「水素化」を実現できる。なにより水素エンジンは、現在のトラックにも搭載でき、そして積載性・架装性を維持しやすいことは、ユーザーにおいても大きなメリットだ。

 おりしも、EU欧州委員会がこれまで掲げていた「2035年にエンジン車禁止・EVへ移行」という方針を転換し、合成燃料(e-フューエル)を用いたエンジンの利用を認める可能性が報じられている。このe-フューエルには水素も含まれる(生成プロセスによる)が、方針転換が決定となれば、水素エンジンが「当面の」トラック用動力の本命になる可能性は十分にあるだろう。

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