れっきとしたメイド・イン・ジャパンなのに、アメリカのクルマ好きから熱い支持を集めるタイヤがある。それが「ニットータイヤ」だ。「そんなタイヤメーカー聞いたことねえぞ」というあなた。その秘めた実力と意外な歴史をお教えしよう!
文/ベストカーWeb編集部、写真/ニットータイヤ
■1949年に創業するも現在はトーヨータイヤの傘下に
まずは歴史からお伝えしよう。ニットータイヤの起源は、1949年に創業した日東タイヤだ。同社は早くから海外市場に目を向け、1958年にはアメリカのタイヤメーカー、ユニロイヤル社と技術提携を行ったりもした。
その後は日本でも自動車産業が発展してきたため、国内企業とも連携を模索する。1971年にはいったん横浜ゴムと業務提携を結ぶのだが、1979年にこの関係を解消し、あらたに東洋ゴム工業(現TOYO TIRE)と技術提携および生産提携を行った。
実はこの頃から日東タイヤは、タイヤメーカーを脱して工業用のゴム/樹脂製品の製造・販売を手掛ける会社へと事業転換を図ろうとしていた。そこで1980年に菱東タイヤという新会社を作り、タイヤの生産/販売事業をこの会社へ移管する。日東タイヤ自体は日東化工と名前を変え、タイヤ事業から撤退してしまったのだ。
こうして以降の「日東タイヤ」は菱東タイヤが作り続けてきたわけだが、この状況が変わったのが1996年のこと。長く提携関係にあった東洋ゴム工業が、菱東タイヤを吸収合併したのだ。
とはいえ日東タイヤは海外、とりわけ北米で根強い人気を誇る。そこで東洋ゴムは「NITTO TIRE」を自社の海外向けブランドとして残すことにした。2005年にはそのNITTO TIREを日本国内で扱うニットージャパンも設立。こうしてトーヨータイヤの1ブランドである「ニットータイヤ」が、我々日本人の目にも触れることになったというわけだ。
■アメリカの自動車カルチャーの欠かせない人気ブランド
そんなニットータイヤだが、冒頭でも触れたとおりアメリカでの人気がすごい。その秘密は、一般的な乗用車タイヤを作らず、ライトトラック&SUV用のオフロードタイヤや、高性能車向けハイグリップタイヤに特化した「とんがった」商品ラインナップにある。
たとえば同社の代名詞ともいえるのが、オフロードタイヤのグラップラーシリーズ。泥濘地や岩場でのタフな使用に耐える製品からオンロードでの快適性に留意したものまで、多彩なモデルがラインナップされているのだが、ニットーが現地のオフロードレースなどに数多く協賛していることもあって、アメリカでは絶大な人気を誇っている。
ストリートシーンでもニットーは人気だ。ラグジュアリーかつ高性能なクルマたちに向けてハイパフォーマンスタイヤを数多くリリースしており、中でも「INVO(インヴォ)」というモデルは、レクサスやメルセデスを乗りこなすクルマ好きに熱烈な支持を集めている。
このほかドラッグ競技やロードレースを想定した製品もあり、もはやニットータイヤは、アメリカの自動車カルチャーとは切っても切れない存在なのだ。
そんなアメリカでの人気を受けて、日本での人気もじわじわと広がりつつある。オフロードやJDMカルチャーに興味がある人なら、次のタイヤに「NITTO」を選ぶのも悪くないだろう。
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コメント
コメントの使い方メジャーの外野スタンド壁に大量に看板出してるよね。
ハンコックのような韓国系か?と思って調べたら日系だったのには驚いた。と同時に、野球中継の看板ってそれなりに効果あるんだなとも思った。