路線バスの座席と足元スペースって結構キツキツな印象……本当はどうなのか測ってみた!!

路線バスの座席と足元スペースって結構キツキツな印象……本当はどうなのか測ってみた!!

 路線バスに乗って座席を利用すると、他の公共交通機関にまして狭く感じるのは否めない。それってイメージだけなのか、それたも本当に「狭い」のか、実測して数値で確かめてみた。

文・写真:中山修一

■狭さ広さの物差し=シートピッチで見てみると?

同じ路線バスでも座席によって乗り味が変わる!?
同じ路線バスでも座席によって乗り味が変わる!?

 座席が狭いか広いかの目安に使われる最もポピュラーな数値が、前後の座席の間隔を測って割り出すシートピッチだ。データを取るサンプルとして、ここでは最近の大型路線車、いすゞエルガを例にしてみる。

 「ラッシュ型」と呼ばれる内装レイアウトで、車内前半のバリアフリーエリアに並んでいる1人掛けのシートピッチを見ると、通路を挟んで進行方向右列が70cm、左列の優先席は若干広めの72cmである。

 高速バスや観光バスのシートピッチが平均すると80cm台なので、それに比べれば明らかに狭い。多くの場合が短距離利用向けで、より多くの人を乗せる必要があり、どうしても狭めのピッチになるのだろう。

■事情によりピッチがバラバラな後方座席

 続いて車内後半の2段高い箇所のシートピッチに注目してみると、席ごとにピッチが違う。最も狭いのが右列の非常口がある箇所の68cm、それに対して左列タイヤハウスの真上が特に広く87cmある。

 タイヤハウス前方の、後半部分の一番前にあたる座席はピッチで測れない代わりに、足元スペースの奥行きで表現すると右列26.5cm、左列33.5cmである。前述したバリアフリーエリアのシートの足元スペースは30cmほどだ。

 路線バスのシートで人気の高い、最前列と最後列はどうか。最前列も足元スペースの奥行きで表現するが、こちらは38cmとなっている。

 最後列の横長シートの場合、通路を挟んで右寄りがピッチ82cm、左寄りが84.5cmある。足元スペースの奥行きに直すと右42cm、左44.5cm。座面の高さが十分あるのを加味すれば、高速車に迫るゆったり感だ。

 なお最後列の真ん中に座ると、通路に誰も立っていなければ運転席横の運賃箱までオープンスペースになり、ホイールベース5.3mのエルガで換算すると、足元の広さは余裕の8m!! シートピッチ的に最後列真ん中が最強と言えばそうかも……。

■それなら幅も狭いのか?

 総じて路線車のシートピッチを平均すると70cm台に収まり、数値だけで言うなら、ちょっと詰め気味なセッティングだ。では、シートの幅は高速車・貸切車よりも狭いのだろうか。

遠州鉄道バスのいすゞエルガ
遠州鉄道バスのいすゞエルガ

 三菱ふそうの高速・貸切車エアロエースを例にすると、2人掛けシートで1人あたりの幅が44cm、1人掛けシートになると少し広く46.5cm取られている。

 シートピッチの項と同じく、いすゞエルガのデータを元に割り出してみると、まず前半バリアフリーエリアのハネ上げ式シートが、構造の関係で特に幅が限られ43cmとなっている。固定式の1人掛けシートならどれも46cmの幅がある。

 2人掛けシートなら1人掛けの倍の幅かと思いきや81cm。1人あたり40.5cmになり、占有可能な幅が1人掛けよりも狭いと分かる。最後列のワイドシートの全幅は2.28mあり、5人掛けなので割れば45.6cmが1人分だ。

 幅に関しては極端なスモールサイズで作られているわけではないようだ。路線車の車内特有の感覚的な手狭さは、やはりシートピッチから来るところが大きいのだろう。

 また、床上に設置された設備の絡みにより、全ての座席の足元がフラットかつ開放的というわけには行かず、ピッチこそ広めでも、安定した着座ポジションを取れないシートが何箇所かできるところも関係していそうだ。

 どの席がベストかは好みが分かれるため一概に決められないが、シートピッチと幅の数値をベースに、座り比べをしてみるのも一興だ。案外狭いところのほうが落ち着いたりして!?

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