ピックアップトラックの王者が、ついに電動化へ踏み出しました。トヨタは2024年11月、タイ・バンコクで開催されたイベントで新型「ハイラックス」を世界初公開しました。伝統のラダーフレーム構造を守りつつ電動化にも対応した点が特徴で、2026年3月25日から4月5日まで現地で開催されたバンコク国際モーターショーにも出展され、来場者の熱い視線を集めていました。新たに「トラボ(TRAVO)」というサブネームが与えられた新型ハイラックスについてご紹介しつつ、その劇的な進化の中身と、気になる日本導入のゆくえを考察します。
文:吉川賢一/写真:TOYOTA、エムスリープロダクション
【画像ギャラリー】伝統のラダーフレーム構造を守りつつBEVに!! タイで発表されたトヨタ新型「ハイラックスTRAVO」(16枚)画像ギャラリーラダーフレームを維持したまま電動化へ踏み込んだ「トラボ」
トヨタが2025年11月にタイ・バンコクでワールドプレミアした第9世代となる新型「ハイラックス」。今回のモデルには、「トラボ(TRAVO)」というサブネームが与えられており、単なる世代交代を超えた「全く新しいハイラックス」であることが強調されています。
掲げられたコンセプトは「GREATER TOGETHER」(直訳すると「一緒なら、よりよく」)。多様なユーザーニーズに応えるため、従来の内燃機関に加えてBEV、さらには将来的なFCEVまでを視野に入れた「マルチパスウェイ戦略」が採用されている点が大きな特徴です。
とりわけ注目すべきは、伝統のラダーフレーム構造を維持したまま電動化にも踏み込んだ点です。ピックアップトラックは、重積載や牽引、悪路走行といった高負荷環境で使われるケースが多く、BEV化にあたっては航続距離や実用性の確保が大きなハードルとされてきましたが、今回のトラボは、その難題をクリアし、具体的な回答を示してきました。
新型ハイラックスが発表されたタイは、ハイラックスの開発・生産における中核拠点です。開発にあたっては、物流から通勤、レジャーに至るまで、現地での使われ方を徹底的に調査。ユーザーからの膨大なフィードバックを反映させることで、リアルな使用環境に根ざした高い完成度を実現しています。
外観以上に「中身」の進化が凄まじい
エクステリアは従来型の力強さを継承しつつ、より直線的で整理された造形へと刷新されました。水平基調のフロントマスクや張り出したフェンダーといったアイコンはそのままに、面構成を見直すことで、サイズ以上に引き締まった印象を与えるスタイルに仕上げられています。
BEV仕様の「トラボe」とディーゼルモデルとの外観上の違いはフロントグリル周辺と、専用デザインの17インチアルミホイールにとどまり、大きな差別化は図られていません。パワートレインの違いを強調するのではなく、「ハイラックスとしての一体感」を重視した設計思想がうかがえます。
筆者はバンコク国際モーターショー2026でトラボ/トラボeの実車を確認してきましたが、従来以上に力強さが際立ったスタイルで、ピックアップ特有の武骨さと現代的な洗練が見事に融合していると感じました。
インテリアはデジタルデバイスを中心に現代的な構成へと刷新されました。ブラック基調の室内にデジタルメーターや大型ディスプレイを組み合わせたコクピット周りは、商用色の強かった従来モデルから一歩踏み込み、乗用車としての質感を強く意識したもの。電動パーキングブレーキやノブ式シフト、最新の運転支援機能も備えており、日常域での快適性と利便性が大幅に引き上げられています。
パワートレインは、内燃機関モデルに最大出力204PS、最大トルク500Nmを発揮する2.8リッターディーゼルエンジンを搭載し、6速ATと組み合わされます。燃費性能についても従来モデルからの改善が図られているとされています。
注目のトラボeは最高出力196PSの電動システムを採用。フロント205Nm、リア269Nmの電気モーターを組み合わせた4WD構成です。59.2kWhの走行用バッテリーはフレーム内に配置されており、積載時や悪路走行における安定性にも配慮された設計となっています。
見た目や装備の変更というより、「仕事も普段使いもこれ一台でこなせるクルマ」へと大きく舵を切ってきた印象です。実際、「トラボ」というサブネームは、「travel」と「voyage」を掛け合わせた造語とのことで、探検や挑戦といった意味を内包しているとされています。現地では、実用・商用に特化した従来モデル「レボ(REVO)」も併売されることからも、トラボがよりライフスタイルに踏み込んだ戦略的モデルであることがわかります。



















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