道を譲る義務が生ずるのはどんなとき?
緊急自動車にこれだけさまざまな種類があると、それを見極めるのは難しい。しかし、緊急自動車が緊急の用務のために走行する際には、サイレンを鳴らし、同時に赤い回転灯をつけることが道交法で義務付けられている。
逆にいえば、たとえばパトカーであっても、赤色の回転灯をつけず、サイレンを鳴らして走っていなければ、その車両は緊急自動車とみなさなくてもよいことになる。
NEXCOや首都高速道路の関係車両の場合では、高速道路の維持や修繕等などをする際には黄色の回転灯を点灯させているが、この状態では「道路維持作業用自動車」とみなされる。
しかし、事故などが発生すると赤色の回転灯を点灯する場合があり、その状態でサイレンを鳴らせば「緊急自動車」とみなされる。
また、NEXCOの緊急自動車に認定されている車両のなかには、回転灯を黄色から赤色へ切り替えられるものもある。JAFの車両も同様に、赤色灯をつけながらサイレンを鳴らしている際には「緊急自動車」とみなされるので注意が必要だ。
ちなみに、回転灯には、赤、黄色、青、緑、紫などがあるが、以下のその内容をまとめてみた。紫の回転灯以外はすべて道交法によって規定され、申請や認可などが必要となる。
回転灯の色
●赤「緊急自動車」
パトカー、救急車、消防車、その他
●黄色「道路維持作業用自動車」
国土交通省、NEXCOやJAFの関係車両
●青「自主防犯活動用自動車」
防犯パトロールカー
●緑「運搬車両」
幅3m以上の大型トレーラーなどをけん引するトラクター、またはその誘導車
●紫「停止中の故障車両など」
停車時のみ使用可能
緊急自動車にだけ許された走行とは?
事故や火災、人命救助などのために現場へ向かう緊急自動車には、その任務の緊急性から「優先通行権」が認められ、一般車両はその進路を妨げてはいけないことが義務付けられている。その内容は以下の通りだ(道路交通法第39条、41条、71条など)。
●右側通行の特例
やむを得ない場合に限り、道路の右側部分にはみ出して通行することができる。
●停止義務免除の特例
他の交通に注意して徐行する必要はあるものの、停止する必要はなし。
・信号による停止
・一時停止標識での停止
・歩道または路側帯を横断する場合の直前停止
・横断歩道を横断する歩行者保護のための停止
・踏切停止
●通行禁止道路通行の特例
道路標識の規制に従わなくてもよい特例。通行止め、車両進入禁止、指定方向外進行禁止などでも通行可能。
●最高速度の特例
制限速度の緩和措置。
・高速自動車国道/時速100km以下
・一般道路等/時速80km以下
●その他
シートベルト着用義務の免除。
緊急自動車とは、このように例外的な走行をし得る車両であることを十分に認識したい。緊急自動車に遭遇したときには、緊急自動車が任務を遂行するためだけでなく、私たち一般ドライバーがトラブルに巻き込まれないためにも、可能な限り、即座に道を譲ることが最善策といえる。
緊急自動車に出会ったときの正しい対処法とは?
さて、我々一般ドライバーが運転中に、これらの緊急自動車に遭遇したら、どのように対処すべきか? そのポイントは主に2つある。
●交差点やその付近
交差点を避け、道路の左側に寄って「一時停止」しなければならない。ただし、一方通行の道路において、左側に寄ると緊急自動車の通行の妨げになる場合は、「右側に寄って停止」する。
●上記以外
まずは「道路の左側に寄る」、そして緊急自動車に「進路を譲る」。
これらのことは道交法の40条として、以下のように記載されている。
●緊急自動車の優先
1.交差点またはその附近において、緊急自動車が接近してきたときは、路面電車は交差点を避けて、車両(緊急自動車を除く。以下この条において同じ)は交差点を避け、かつ、道路の左側(一方通行となっている道路においてその左側に寄ることが緊急自動車の通行を妨げることとなる場合にあっては、道路の右側。次項において同じ)に寄って一時停止しなければならない。
2.前項以外の場所において、緊急自動車が接近してきたときは、車両は、道路の左側に寄って、これに進路を譲らなければならない。
(罰則 第百二十条第一項第二号)
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