トラックの強みは「ID野球」=高速道路を知り尽くしている
だが、トラックと乗用車の接触事故はそうそうあるものではなく、どちらかといえば円滑にいっている。理由は、プロドライバーがそうした危険を予知して回避する運転をしているからだろう。
トラックドライバーは毎日のように同じルートを走り、道路の危険箇所を知りつくしている。例えば、「このインターは朝は合流して来るクルマが多いから、あらかじめ中央車線に寄っておこう」とかいうように……。
かつてのヤクルトの野村監督・古田投手がやっていた「ID野球」のように、相手(道路や乗用車)の「クセ」を脳内でデータ化して知り尽くしているから、それに対処した行動ができるということだ(逆に言えば、ドライバーが持っているそういうノウハウを吸い上げれば道路構造の改善にも使えるのだが、道路はまったく進化していない)。
もう一度言うが、運送業の最大の目的は無事故で荷物を届けること。だから、他車の動きを読み、うまくよけて走ればよい。速度不安定なクルマであろうと何であろうと、道交法に違反しない限り走る権利があり、正義も悪もない。
どんな走り方であれ、自車が走ることにより、他のクルマに多少の迷惑は掛けているはずだから運転は謙虚であるべきだ。運転は他車との協調、ゆずり合いである(しかし、これができないドライバーが多い)。
プロドライバーとしてやるべきことは、どうすればプロらしいスマートな運転ができるかの探求だ。プロとしてハンドルを握って30年になるが、日々是研鑽である。