高速道路の運転で悪名高き「抜かれたくない病」にはどう対処する!? 乗用車と協調するプロドライバーの走り方

乗用車の運転の特徴

 乗用車にもいろいろな運転がある。とにかく飛ばして車線間を縫うようにして走るクルマ、逆に運転が不慣れでゆっくりと走るクルマ。覆面パトカーに取り締まられそうなのは前者だが、一瞬で走り去って行くため、トラックにとっては苦労しない相手である。

 むしろ危険なのは後者で、70~90km/h程度で走るトラックと速度帯が重なるため、動線が交錯してくる。

 その一番の特徴は「速度が安定しない」ことである。乗用車の多くはオートクルーズを使用せず、見たものに反応しながら、いわば気ままに走っている。対してトラックは(特に大型トラックでは大半が)オートクルーズを使用して一定速度で走っている。速度が不安定なものと、速度が一定なものなので相性が悪い。

 その最たるものが、冒頭でも触れた「抜かれたくない病」と呼ばれる運転。つまり、乗用車のペースが遅いのでトラックが追い越そうとすると、キャビンと鼻先が並んだあたりから乗用車がジワジワと加速して並走し、絶対に抜かせない行為。トラックが左車線に戻れないので、後方で混雑が発生する原因にもなる。

 しかし、「抜かれたくない病」は意地悪ではないと筆者は考える。つまり、乗用車のドライバー(特にたまにしか運転しないサンデードライバー)は「時速何キロで走ろう」という計画がなく、周りの物を見ながら運転している。

 そこで、車体の大きいトラックが近い速度で追い越しを掛けると、否が応でも視界に入り無意識に速度を合わせてしまうのだろう。

「抜かれたくない病」の対処法

 多くのトラックドライバーは「抜かれたくない病」をやられると、怒り心頭でキーッとなってしまう。危険をともなう行為であるし、命さえかかっているから怒るのは無理もない。

 この行為にスマートに対処する方法は無いのか? 答えは、スピードに緩急を付けることだろう。つまり、自車の走行は、速度一定を基本としながらも、追い越される時と追い越し時で、-3キロ、+10キロの変化を付けること。これがトラック同士の追い越しなら-3、+5キロでよい。

 相手が速度一定だからである。+10キロの加速をして追い越せば、並走されることはほとんどない。つまり、一気に抜くということ。

 しかし、「80km/hからビタ一文超えてはならぬ」という「社速遵守」の会社では、この方法は使用できない。速度変化に耐えながら追従するしかあるまい。ただ、その場合でも、オートクルーズの設定速度を下げて、問題の車との車間距離(マージン)を大きく取っておけば、細かい速度変化にも自車のペースを乱されることは少ない。

 速度を緩めるとその分到着時間は遅くなるが、「もし自動運転のトラックだったらどうだろう」と考えれば納得はいく。機械なら腹を立てたりせずに「安全」を優先するだろう。要は、運送業の最大の目的は「荷物を無事故で目的地に届けること」だと考えればよい。

合流がヘタ

合流でトラックと横並びになる乗用車。トラック側が中央車線などに寄るなど対応してあげることも必要だ
合流でトラックと横並びになる乗用車。トラック側が中央車線などに寄るなど対応してあげることも必要だ

 その他にも危険な運転はある。例えば、中央車線や追越車線を比較的低速で走り、速度が不安定なクルマ。運転しながらスマホをいじっている場合も多い。後ろには追い越せないクルマの集団ができあがり、混雑時には渋滞発生の引き金にもなる大迷惑行為である。

 しかし、純粋に速度が不安定なだけでは今の道路交通法では何の違反にも問われない。遠い将来、すべてのクルマが自動運転化されれば、こうした問題も無くなるのだろう。

 また、最近感じるのは、インターチェンジ、ジャンクション、パーキングエリアから本線などで合流のヘタなクルマが多いこと。本線を走行するトレーラの真横に並んで合流しようとするから、土台無理なのである。

 本来なら、加速車線に入る時にサイドミラーで本線の様子を見て、速度調節しながら本線の車両の間にタイミングを合わせて入るべきだ。だが、本線をまったく見ていないのでそれができない。

 近年の長大化したダブル連結トラック(フルトレーラ)などでは、全長が長過ぎて加速や減速で避けることもむずかしい。

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