マジで簡単にコケるから!! ルール知らないと超キケン……規制緩和で増殖中「電動キックボード」から身を守るには?

マジで簡単にコケるから!! ルール知らないと超キケン……規制緩和で増殖中「電動キックボード」から身を守るには?

 ラストワンマイルの移動に適していると、関係省庁が導入を進めた電動キックボードが、2023年7月1日の改正道路交通法施行を受けて一気に増加! しかし、実際に始まってみたら問題山積! 身を守るためにはお互いどうするべきか!?

※本稿は2023年7月のものです
文/国沢光宏、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部、JAF、AdobeStock(トップ画像=SkyLine@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2023年8月26日号

■そもそも特定小型原動機付自転車って何者!?

特定小型原動機付自転車の保安基準項目
特定小型原動機付自転車の保安基準項目

 改正前は、電動キックボードは「原動機付自転車」、いわゆる原付バイクと同じ扱いだったため、運転するには運転免許証とヘルメット装着が必要(LUUPなどシェアリングサービスは実証実験として小型特殊自動車扱い)だった。

 しかし規制緩和を受けて、車体の大きさが長さ190cm以下・幅60cm以下、最高速度20km/hなど一定の基準を満たしたモデルであれば、16歳以上で運転免許なしでも運転できるようになった。

 とはいえ、ネット通販で購入した海外の電動キックボードに自由に乗れるわけではないので、勘違いしてはいけない。下の基準に準じた車両に、上の図のような保安部品の装着が必須となる。

 アシスト量が強力な違法電動アシスト自転車のように、バレなければいい……という考えだと、痛い目を見ることになるので要注意だ。

特定小型原動機付自転車の基準
・車体の大きさは、長さ190cm以下、幅60cm以下
・原動機として、定格出力が0.60kW以下の電動機を用いること
・20km/hを超える速度を出すことができないこと
・走行中に最高速度の設定を変更することができないこと
・オートマチック・トランスミッション(AT)機構がとられていること
・最高速度表示灯が備えられていること
・道路運送車両法上の保安基準に適合していること
・自動車損害賠償責任保険(または共済)の契約をしていること
・標識(ナンバープレート)を取り付けていること

■JAFのテストで分かった「ノーヘル」リスクのヤバさ

低い段差や急ハンドルで転倒しやすい電動キックボード。タイヤが小さく重心が高いため、前輪部分を中心に弧を描き、重い頭部から地面に落下するように転倒するケースが多い。ヘルメットは重要だ(写真:JAF)
低い段差や急ハンドルで転倒しやすい電動キックボード。タイヤが小さく重心が高いため、前輪部分を中心に弧を描き、重い頭部から地面に落下するように転倒するケースが多い。ヘルメットは重要だ(写真:JAF)

 2023年4月1日から自転車に乗る人のヘルメット装着が努力義務となったが、今回法改正された電動キックボードもヘルメットの装着は努力義務となっている。

 しかし、7月7日には北海道で京都府の男性が転倒し、一命を取りとめるも重い脳挫傷を負った。この男性はヘルメットを装着していたようだが(事故後近くに落ちていた)、頭部へのダメージを防ぎきることはできなかった。

 そんな危険性があることを利用者に理解してもらうため、JAFが7月14日に「電動キックボードの衝突実験」を行った結果を公表した。

 その結果を見てみると、20km/hで走行している状態から転倒し頭部を地面に打ちつけた場合、衝突や落下などの衝撃による脳や頭蓋骨への損傷程度を表す数値(HIC)は、ヘルメット装着時(HIC:1231.8)と非装着時(HIC:7766.2)で、6.3倍もの差が出ることがわかった。

 ちなみに、この数値が1000を超えると、脳傷害を負う可能性があるため、ヘルメットをしていたとしても、転倒の仕方によっては万全ではないことを意味している。その数値の6.3倍……一度想像してみてもらいたい。その危険性を理解してもらえるだろう。

 このJAFの実験では、その他にも自動車に衝突した場合、歩行者に衝突した場合、20km/hで頭部を直接フロントガラスに衝突させた場合と、さまざまなケースを想定してテストを行っている。特に歩行者と衝突した場合など、自分は大丈夫、事故はしないと慢心している電動キックボード利用者に見てもらいたい。

 この原稿を書いている時点で編集部員が、レンタル電動キックボードが急ハンドルを切って転倒するのを編集部前で目撃している。電動キックボードは簡単にコケるのだ。

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