日没前後の薄暮の時間、実は最も交通事故の発生件数が多い時間帯としても知られている。事故を起こしやすい“魔の時間帯”を無事に乗り切るにはどうすればいいのか? そのポイントを考えていこう。
文/長谷川 敦、写真/スバル、日産、マツダ、写真AC、アイキャッチ写真/djvstock@Adobe Stock
夕暮れ時には事故が起きる?
日が傾いて辺りが薄暗くなる頃、つまり昼と夜が移り変わる薄暮の時間帯は、黄昏時ともいわれ、昔から「逢魔が時(おうまがとき)」とも呼ばれている。
夜が近づく時間は人ならざる物の怪、つまり魔の者に会(逢)いそうということから逢魔が時といわれるようになったのだが、実は、薄暮の時間帯はクルマの運転にとっても逢魔が時なのを知っているだろうか?
2017年から2021年までの5年間で、時間帯別の交通死亡事故発生件数を見ると、17~19時台が圧倒的に多いという。しかも自動車対歩行者の事故が半数を占めていて、歩行者にとっても魔の時間帯だということがわかる。
警察庁では日没前後1時間を薄暮時間帯としているが、この時間帯は歩行者&ドライバー双方にとって最も注意すべきなのは間違いない。
なぜ薄暮の時間に事故が起きるのか?
薄暮時間帯に事故が起きやすいのは、日中に比べると暗く、それが道路を横断する歩行者に気づきにくくするというのが最大の理由だ。
見えにくさで考えたら、さらに暗くなる夜間のほうが事故も多くなりそうだが、実際には完全に日没した20時以降の事故発生率は薄暮時間帯より少ない。
実は、薄暮時間帯最大の問題は、徐々に暗くなってくることにある。
十分な明るさがある日中から、ゆっくりではあるが確実に暗くなる薄暮時間帯では、ドライバーと歩行者は「まだ明るい」と判断してしまい、実際の視界が悪くなっていることに気づかないことも多い。
そのため、お互いを発見するのが遅れて事故になってしまうというわけだ。
また、薄暗い状況下では距離感や速度間が鈍ってしまうのも事故につながる原因になる。
完全に暗くなると、ドライバーと歩行者はそれに合わせた運転(行動)をするので、薄暮時間帯よりも事故が少なくなる。
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