■クルマが止まらなくなる原因は?
長い下り坂でブレーキをかけ続け、「利きが悪いな……」と感じたことがある人はいるだろう。そのままブレーキし続けていると、「止まらない‼️」となってしまう。
主な原因はフェード現象とベーパーロック現象だ。
●フェード現象とは?
長い下り坂でブレーキをかけ続けると、ブレーキローターとブレーキパッドが接触し続け、許容温度を超えた摩擦熱がブレーキパッドに発生する。
許容温度を超えると摩擦係数が下がって制動力が一気に低下。結果、ブレーキペダルをいくら踏んでもブレーキが利かない状態となり、これを“フェード現象”という。
●ベーパーロック現象とは?
前述のフェード現象が起こったままさらにブレーキをかけ続けると、ブレーキローターとブレーキパッドの温度は上がり続け、ブレーキペダルとブレーキピストン(ブレーキパッドを押し出す役目)をつないでいるブレーキフルード(液体)にまで熱は伝わっていく。
この熱が高温になってブレーキフルードが沸騰すると、ブレーキフルードで満たされているブレーキホース内に気泡が発生。
気泡が発生すると、ブレーキペダルを踏んでも圧力は気泡を押し潰すだけになり、ブレーキパッドを押し出すことができなくなる。これを“ベーパーロック現象”と言う。
■ブレーキが完全に利かなくなる前に対処!
このフェード現象とベーパーロック現象を引き起こさないためには、エンジンブレーキの併用が理想だが、「利きが悪くなってきたし、何かが焦げるような臭いがする」と感じたら、まずは安全な場所にクルマを停めて、高温になったブレーキを冷やすこと。
30分ほどで常温に戻るだろうが、ここで注意したいのが「ブレーキ回りに水などをかけて強制的に冷やさない」こと。
高温下にあるブレーキローターに水をかけると、歪みや割れにつながる可能性大だからだ。
また、停車するときは徐々にシフトダウンして減速を。パーキングブレーキで急に止まろうとするとタイヤがロックして制御不能になる恐れがある。
無事に停車できたらAT車であればPレンジに、MT車なら1速かリバースギヤに入れて、過熱したブレーキローターとブレーキパッドが冷えるまでパーキングブレーキはかけないようにする。
安全に停まれる場所がないなら、ブレーキペダルをほぼ踏まなくてよいレンジにシフトダウンしてグッとスピードを落として走行するしかない。
AT車であればDレンジから2レンジもしくはLレンジに、MT車なら3もしくは2速にシフトダウンしてエンジンブレーキを多用する。
とにかくブレーキローターやブレーキパッドを走行風で冷却したいので、スピード調整のためにブレーキペダルを頻繁に踏むのは避けたい。ブレーキペダルをほとんど踏まなくていいスピードとギヤを選択しよう。
「滑った!」や「止まらない!」は、程度の違いこそあれ多くのドライバーが経験する緊急事態。「なぜそれが起こるのか? どうすれば避けられるか? 起こったら?」をあらかじめ知っておけば、不測の事態にも対処できるかもしれない。
そもそもそんな事態に陥ることは避けたいのだが……。
【画像ギャラリー】焦りは事態を悪化させる!! 正しい知識を知っておこう(8枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方