せっかくの楽しいドライブに水を差しかねない「クルマ酔い」。特に、お子さんがクルマに酔いやすいという人は、ドライブを計画するにあたって、悩みのひとつとなっているでしょう。
クルマ酔いは体質によるところもありますが、運転操作に原因があることも。クルマ酔いを防ぐには、できるだけ揺れの少ない丁寧な運転をすること。そのために最も重要なのが、アクセルペダルとブレーキベダルの操作です。
文:吉川賢一
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減速Gの変動を無くすようなブレーキ操作が理想
自動車メーカーのテストドライバーによると、クルマ酔いを防ぐブレーキ操作のポイントは、減速Gを一定に保つことだそう。踏み始めは柔らかくし、その後減速Gを一定に保つことができれば、同乗者の頭にかかる慣性の力は一定となり、揺り動かされることは原則なくなります(路面の凹凸があれば別)。そしてクルマが停止する瞬間に、ブレーキを踏む足の力をちょっと抜くこともポイント。同乗者の頭が「ガクン」となることを減らすことができます。再発進の際も、ブレーキペダルを「パッ」と離さず、ゆっくりと足をリリースすると、発進時の揺れを少なくできます。
究極的には、時速300kmを出す新幹線のように、いつ加速したのか、いつから減速したのか分からないよう、前後方向へ揺れずに加減速することが理想だそう。それには、減速Gの変動(ジャーク)が少なくなるよう、アクセルオフ状態でのコースティング走行(ペダルを踏まない状態)を使いつつ、微調整が必要ならば、靴の中の足の親指のわずかな力のかけ具合でブレーキペダルの踏力を調節します。これはテストドライバーでも苦労をする足技とのことで、簡単にできるものではありませんが、そうしたイメージをもっておくだけでも、同乗者の頭の振られ方は変わってきます。
「スピードの出し過ぎ」はNG。普段以上に速度は気を付けること
アクセルペダルの操作でも、丁寧な操作や速度ができるかぎり一定になるような操作を心がけたいところですが、それに加えて「スピードの出し過ぎ」も気を付けたいポイント。
たとえば、普段は時速60㎞で走っているコーナーを、20%ほど速い時速72kmにしただけで、乗員の身体には通常の1.45倍の左右加速度(遠心力)がかかりますし、速いスピードで、道路のうねりやギャップを超えるたび、同乗者はより大きく揺すられてしまいます。どんなに優れたサスペンションを持ったクルマでも、スピードを出せば必ずボディは揺れます。これを抑制するには、スピードを落とす以外にはありません。
クルマ酔いが酷いという人が同乗する際には、普段以上にスピードの出し過ぎには注意してください。高速道路の追い越しレーンを、スイスイ他車を追い越していくことはやめて、走行レーンを時速80km一定速で走り続ければ、クルマ酔いは避けられるかもしれません。
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