充電時間と航続距離は電気自動車の購入を考える時にもっとも気になる部分。EVは寒さに弱く、寒冷期の航続距離は雪中での立ち往生などに遭遇した場合は命に関わる問題だ。ところが、この2つの点をクリアする技術が中国から登場したのでさっそく見ていこう!
※本稿は2024年3月のものです
文/角田伸幸、写真/ファーウェイ、El Prix、テスラ、AdobeStock
初出:『ベストカー』2024年4月10日号
■1秒の充電で1km走れる! 中国の超急速充電が凄い
現在、日本に設置されている急速充電器の最大出力は、おおむね20~150kW。テスラのスーパーチャージャーはこれを上回るが、それでも最新のV3が250kWだ。
いっぽうEV先進国の中国ははるか先を行っている。2023年秋にファーウェイが設置を開始した超急速充電器は、最大出力がなんと600kW! 同社はこれを「一秒一公里(1秒充電で1km走れる)」として宣伝し、今年中に10万基(250kW版も含む)の普及を目指すという。
ファーウェイ幹部によれば、エンジン車への給油と同じ体験を実現するには「1秒1km」が必要とのことだが、それには及ばないものの、中国では小鵬(シャオペン)汽車も480kWの超急速充電器をすでに200カ所以上設置しており、充電時間の短縮が猛スピードで進んでいる。
大出力充電を実現するには車両側の対応も必要で、すべての車両が恩恵を受けられるわけではない。大きな電力も消費するから、発電力の増強も必要だ。
それでもEVの充電は短いほうがいい。悩ましいが解決を望みたい!
■EVの寒中航続距離テスト1位は耳慣れない中国車
一般的にEVは寒さに弱い。これは寒冷な国にとって深刻な問題なだけに、北欧ノルウェーではさまざまな「EV寒中テスト」が行われている。
なかでも面白いのが、「エル・プリ」と呼ばれるレース。毎年夏と冬の2回行われ、EVがどれだけの距離を走れるかを競う。同時に満充電までのスピードや、公称航続距離(WLTP値)と計測値の差も公表されるので、EV購入の際の頼れる指標になる。
このエル・プリ、2020年以降はテスラの独壇場で、今回もマイチェンしたモデル3が優位と見られていた。ところが新型モデル3の結果は23台中22位。公称航続距離(629km)から30%近く短い、441kmという記録だった。
代わって優勝したのは、「ハイファイZ」という耳慣れない中国車。上海に本社を置く高合汽車のクロスオーバーだが、522kmを走り、公称値(555km)からの低下率もわずか6%に収めた。
エル・プリにはこのほかにも名だたるEVが参加したが、氷点下の航続距離は400km、WLTP値からの低下率は21%が平均的だった。このテスト、地味に面白いから今後も注目してみたい!
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