バカ売れオデッセイの対抗馬として生まれたイプサムは、ベース車の関係で5ナンバーサイズ。豪華さという意味では一歩及ばず……。オデッセイの牙城を崩そうとちょっと高級仕様のガイアを投入するなど、トヨタも本気だったのだ。でも振り返っていても高級?? ってな仕上がりだったのだ。
文:小鮒康一/写真:ベストカーWeb編集部
■初代オデッセイ超絶ヒット!! トヨタも黙っちゃいなかった
1990年代に巻き起こったミニバンブームでは、各メーカーからさまざまな3列シート車がリリースされた。
ただ中には背の高いワンボックススタイルのミニバンに馴染めないユーザーも少なくなく、そこに1994年に登場したオデッセイは、セダンライクなドライビングポジションや運転感覚にもかかわらず3列シートを備えたモデルとして大ヒットとなったのはご存知の通り。
すると他メーカーも今度はオデッセイに近いコンセプトのモデルを多くリリースすることとなり、1996年にトヨタがリリースしたイプサムもかなりのスマッシュヒットとなったのだった。
■イプサム売れるも物足りず!? 弱点カバーしたのがガイアだったのよ
デビュー当初は好調なセールスを記録したイプサムだったが、ベースとなったのがコロナプレミオということで5ナンバーサイズに収まる大きさとなっていた。
これは運転を苦手に感じるユーザーにとってはプラス要素であったものの、余裕のある3ナンバーサイズのオデッセイに比べると室内空間の狭さは如何ともしがたく、徐々に人気が下降線をたどることになってしまった。
そこでリリースされたのが、イプサムのプチ高級版ともいえる「ガイア」であった。ガイアもイプサムの兄弟車種だったため、5ナンバーサイズのボディは変わることはなかった。
■キャプテンシートこそ至高だった!? オデッセイはV6で巻き返し
全長を90mm延長し、イプサムでは丸みを帯びていたリアゲートもルーフを車体後端まで伸ばして垂直に近いものとして室内長を確保。さらに全高も20mm高めてイプサムよりも余裕のある室内空間を実現していた。
またイプサムでは2-3-2の7人乗り仕様であったところ、2列目シートをキャプテンシートとした2-2-2の6人乗り仕様も設定し(7人乗り仕様も存在)、上級感を演出。
もちろん内外装もイプサムよりも上級な雰囲気のあるものとし、ヘッドライトは4灯のものを、テールランプはガーニッシュを含め横一文字のものとすることでイプサムとは異なる印象のものとなっていたのだった。
しかしオデッセイには前年にV6 3Lエンジンを搭載した「プレステージ」が追加されており、小手先だけの変更で高級モデルと言うにはやや苦しいところがあったのも事実。
ガイア登場の翌年末にはオデッセイが2代目にフルモデルチェンジを果たすなどタイミングが悪すぎたこともあって、イプサムに続くスマッシュヒットを記録することは叶わずに1世代限りを姿を消すこととなった。
【画像ギャラリー】似てるけど結構違う!? 初代イプサムとガイアの棲み分けがお見事!! 全貌はコチラ(5枚)画像ギャラリー
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