ロックバンドのボーカルが、マイティボーイの66㎝しかない荷台に座って「スズキのマー坊とでも呼んでくれ!」というCMを覚えているだろうか? 今回は懐かしい、軽自動車のピックアップトラック、スズキマイティボーイを取り上げてみよう。
文/ベストカーWeb編集部、写真/スズキ
■安くてカッコいい軽ピックアップ!
1979年代に登場した初代アルト、49万円の衝撃は大きく、この時代はお金のない人はほんとに安い軽自動車に乗るしかなかった。今の時代では考えられないが……。
そのアルトよりも4万円安い45万円(後にラジオやシガライターをオプションとした42万円のAタイプも設定)で1983年2月にデビューしたのがスズキの軽ピックアップトラック、「マイティボーイ」だった。タイトルの「マー坊」は正式な車名ではもちろんなく、CMで謳われた愛称だ。ちなみにマイティボーイを直訳すれば「力持ちの少年」で、なんとなくわかる気がするが……。
彼の地では、フォードランチェロやシボレーエルカミーノといった、セダンの後ろ半分が荷台というピックアップは大ヒットしていた。むろん、それを参考にしたわけではないだろうが、マイティボーイはセルボをベースをした2シーターで後ろが荷台というスタイルは、とにかく衝撃的だった。当時の軽自動車はとにかく安いのが正義。後ろを荷台にしたのは若者でも買える、低価格車という側面もあったのだ。
エンジンは、1976年1月から360㏄から変更された規格に準じて543㏄、28psの直列3気筒SOHCエンジンが搭載され、1985年2月のマイナーチェンジで31psに向上した。現在から見ると非力すぎると思うかもしれないが、車重はたったの530㎏と軽いので、4MTと相まって走ると結構楽しかった。
グレードはⅬタイプとAタイプの2種類で、内装はアルトのダッシュボードとシートが使われ、Ⅼタイプの荷台部分には小さいデッキカバーが装着されていた(後期型のⅬタイプは廃止されてルーフレールを装着)。
注目の荷台は、幅660mm×長さ1770mmあまり、最大積載量は200㎏と、ピックアップトラックと呼ぶには狭すぎる。とはいえ、シートの後ろには余裕があり、ちょっとした荷物も積める広さだったので、充分足代わりに使えた。
その時代、10代後半だった担当は、マイティボーイに対して、安くて可愛いイメージを持っていたが、新車を発売していた当時は、さほど人気はなく、人気が出たのは生産が終了した1988年以降だったように記憶している。
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