次期オデッセイはどうなる?ホンダのフラグシップミニバンを予測

次期オデッセイはどうなる?ホンダのフラグシップミニバンを予測

 2023年12月に、およそ1年ぶりの日本市場復活となったホンダの名門ミニバン「オデッセイ」。しかしながら、復活したモデルは、販売終了する前のモデルとほぼ同じ仕様、2013年10月に登場という、すでに10年を超えたモデルだ。

 復活させるなら、フルモデルチェンジした新型で復活したほうがインパクトがあったような気もするが、いろいろ事情があるのだろう。いずれにせよ、フルモデルチェンジは近いはず。はたして、次期オデッセイはどのようなモデルとなるのか!?? 期待を込めて予想してみよう。

文:吉川賢一/写真:HONDA

不安定になりやすいシーンでも安定した走行が可能、また小回り性能が素晴らしい

 オデッセイの国内登録台数は、2024年1月は約1,000台、2月は約1,180台、3月は1,300台、そして4月は820台と、月販目標1,000台に対して、再販売以降、まずまずの成果を上げている。ラージミニバンというと、トヨタ「アルファード/ヴェルファイア」の成功が目立つが、オデッセイもそれなりに売れているのだ。

 そんなオデッセイの最大の魅力は、ミニバンの実用性を備えながら、低く構えたスタイリングやスポーティな走りを楽しめる点だ。1695mmの全高は国産ミニバンの中では際立って低く、走行中にクルマが不安定になりやすいシーンでも安定感があるし、床が低いことは(人にもよるが)乗降性の向上にもつながる。また、2.0L直4のガソリンエンジンに2モーターハイブリッドを組み合わせたe:HEVの出来栄えが素晴らしい。車内に入り込んでくるノイズが非常に少なく、車内は極めて静かで、滑らかで過不足ない動力性能だ。

 特筆すべきは小回り性能だ。オデッセイの最小回転半径はなんと全グレード5.4m。新型アルファードの最小回転半径は全グレード5.9m、エルグランドは全グレード5.7mなので、オデッセイはダントツで優れている。

 ただ、いわゆるミニバンの見下ろすような視界がないことや、廉価な2.4L直4ガソリン車が廃止されてしまったこと、エクステリアデザインの古さが否めなく優越感が少ないため、買う理由が乏しくなってしまっていることは弱み。リアが車軸式(トーションビーム)サスペンションのため、リアからの突き上げショックが大きく、乗り心地が硬いとの指摘もあるが、筆者はあまり気にならない。

2023年12月に復活したオデッセイ。現在はe:HEVモデルのみとなった。価格は税込480万円~516万円
2023年12月に復活したオデッセイ。現在はe:HEVモデルのみとなった。価格は税込480万円~516万円
ブラックを基調としたインテリアは質感が高い。また2列目3列目も快適な広さが確保されている
ブラックを基調としたインテリアは質感が高い。また2列目3列目も快適な広さが確保されている

低全高のまま、北米オデッセイ並みの全長とするのはどうか!??

 そんなオデッセイの次期型は、どのようなモデルとなるのが理想なのか。アルファード/ヴェルファイアと真っ向勝負するならば、同サイズの体躯にまで大型化がマストだが、オデッセイはやはり低い全高あってこそ「オデッセイ」であり、ホンダがこのオデッセイの低床・低全高コンセプトを変えてくることは考えにくい。オデッセイはおそらく次期型でも、走りのよさをうたう背の低いミニバンのキャラクターを極める方向へと進んでくるはずだ。

 ただやはり、既存のオデッセイオーナーが買い替えたり、アルファード/ヴェルファイアを好まないミニバン購入希望者を「おっ」と思わせるようなスパイスは欲しいところ。エクステリアデザインが斬新で魅力的であったり、同社の「レジェンド」に搭載された世界初の自動運転レベル3の「トラフィックジャムパイロット」が含まれる「Honda SENSING Elite」の搭載など、従来のオデッセイからの正常進化にとどまらない、なんらかの驚きがあるといいと思う。

 北米には同じ「オデッセイ」の名で、日本のオデッセイ(全長4855mm、全幅1800 /1820mm、全高1695~1725mm)よりもひと回り大きい(全長約5161mm、全幅約1993mm、全高約1734~1767mm)モデルがある。ちなみに、アルファードのボディサイズは全長4995mm、全幅1850mm、全高1935mmなので、アルファードよりも長くて幅広だ。

 ホイールベースも長くなると、最小回転半径は大きくなってしまうだろうが、たとえば、この北米オデッセイのように全長を長くすると、オデッセイらしさは残しつつ低全高ミニバンとしての魅力がさらに向上し、アル/ヴェルとは違うアプローチもできて、いいように思う。価格帯は全然違うが、トヨタセンチュリーのような異様なオーラが醸し出せるといいのかもしれない。

 そしてパワートレインは、ガソリンハイブリッド車(e:HEV)を中心に、プラグインハイブリッドやバッテリーEV、さらにはe:FCEVのグレードを設けることも期待したい。ホンダは、2030年までに全世界でEV/FCEVを200万台強(年間の生産計画)、2040年までに全世界でBEV/FCEV販売比率を100パーセントとすることを目標(2024年5月現在)としている。ぜひオデッセイに、「国産ミニバン初のBEV」の肩書を手に入れてほしいと思う。

ホンダアメリカが販売しているオデッセイ2024モデル。日本向けオデッセイよりもひと回り大きな3列シートの大型ミニバンだ
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2024年1月のCESで発表されたホンダ0シリーズの「スペースハブ」。オデッセイとはまた別の乗り物だが、こんなデザイン要素が盛り込まれると、テスラのサイバートラックのようなサプライズを与えることができる!??
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スペースハブの室内は、車の中とは思えないほどの圧巻の広さ。対面レイアウトのソファシートに座り、外の景色を眺めながら、家族で会話を楽しむことを想定している
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