コンテナなどを運ぶデカいトレーラー。時々後ろに2つ並んだタイヤの片方を持ち上げて走っているのを見たことがあるだろう。あれってなんでだか分かる? 「荷物が軽いから」だけじゃないぞ!
文:ベストカーWeb編集部/写真:Adobestock(トビラ写真=milkovasa@Adobestock)
■専門用語ではアクスルリフトと呼ぶ
物流を担うトレーラーは、タイヤをはめる車軸の数によって2軸、3軸、4軸などと分類される。車両を真横から見たとき、タイヤが2つ見えれば2軸、3つ見えれば3軸と考えれば簡単だ。
このうち3軸以上のトレーラーは、ときどき後輪の1軸を持ち上げて(タイヤを接地させずに)走っている姿をみかける。
専門用語では、この機能はアクスルリフトと呼ばれる。3軸の場合、一番後ろにあるタイヤ(車軸)に架かる荷重が9500kgより軽いと、自動的に車軸を持ち上げてタイヤが接地しなくなるのだ。
アクスルリフトさせる理由はいろいろある。まず当たり前だが、上げたタイヤ(普通はダブルタイヤなので左右併せて4本)の摩耗が防げる。さらにブレーキも休ませることができるので、トータルで見た部品のランニングコストが抑えられるというわけだ。
走行性能的にもメリットはある。まずタイヤの走行抵抗が小さくなるから燃費向上に貢献できる。旋回軸がより点に近くなるから、交差点などもより曲がりやすくなる。そのうえタイヤ1本あたりの接地荷重も増えるので、雨の日の運転の安心感も高まるのだ。
■接地させてるタイヤの数で高速料金が変わる!
とはいえ一番大きな理由はお財布の面だろう。実は高速道路の料金が、3軸と4軸では違うのだ。
車両重量や全長にも決まりがあるのだが、普通貨物自動車のうち3車軸以下のものは高速道路で「大型車」に分類される。ところがこいつが4車軸以上になると「特大車」となって料金が高くなるのである。
たとえば東京から名古屋まで、大型車で走ると東名の高速料金は1万1900円。これが特大車になると1万9800円に跳ね上がるのだ。厳しいコスト管理が課される物流の世界で、この料金差はデカい。
さまざまな特殊装備がある大型車だが、こんなところにまで工夫がなされているとは驚きだ。今度、街中でアクスルリフトしてるトレーラーを見かけたら、じっくりと観察してみよう。
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