JAFによると、2022年度のロードサービス出動理由(一般道/高速道路、四輪/二輪合計)でもっとも多かったのは、「バッテリー上がり」で全体の約40%、次いで多かったのが「タイヤのパンク、バースト、エアー圧不足」で全体の約20%だったそう。
バッテリー上がりもタイヤのトラブルも、ドライバーのメンテナンス不足によるところが大きいですが、特にタイヤのパンクやバーストとなると、周囲のクルマや人を巻き込んだ事故となってしまう可能性もあり、大変危険。運行前のタイヤの状態確認は、ドライバーの義務とされる日常点検の項目であり、「気づかなかった」では済まされません。タイヤに関する日常点検項目3つを振り返りましょう。
文:エムスリープロダクション/アイキャッチ画像:Adobe Stock_ naka/写真:Adobe Stock、写真AC
溝の深さだけでなく、亀裂や損傷はないか、柔軟性は十分かも重要
クルマの日常点検については、道路運送車両法第47 条において、使用者が点検および整備をする義務がある、と定められています。自家用車については「1日1回運行前」とは定められてはいないものの、走行距離、運行時の状態等から判断した適切な時期に、国土交通省令で定める技術上の基準について、目視等によって点検しなければならず、必要な場合においては整備をしなければなりません。
国土交通省が定めている日常点検の項目のうち、タイヤに関する項目は、1.亀裂や損傷、また異物が付着していたりかみこんだりしていないか 2.タイヤ接地部のたわみ具合、そしてタイヤ空気圧が規定の範囲内であるか 3.タイヤの溝の深さは十分か(スリップサインはでていないか)の3つ。
タイヤは、トレッド面(接地面)はそれなりに強いものの、側面は意外と弱く、たとえば縁石などに擦ってしまうと亀裂が入ってしまったり、コブのような膨らみ(ピンチカット)が生じてしまうことがあります。また、素材であるゴムの経年劣化によって柔軟性が失われるほか、ひび割れが生じてしまうことも。
こうして損傷やひび割れ、劣化が生じているタイヤで走行することは、パンクやバーストの原因となります。特に高速走行ではタイヤへの負荷が大きくなるため、ちょっとした亀裂でもバーストにつながってしまう可能性があるのです。
空気圧不足はバーストのほか、燃費悪化にもつながる
そして、こうした亀裂や柔軟性と同じくらい大切なのがタイヤの空気圧です。クルマのタイヤにはそれぞれ指定されている空気圧があり、その指定空気圧を保つことで、本来の性能を発揮することができます。クルマのタイヤは、時間の経過とともに、自然に空気が抜けていってしまうので、定期的なチェックが必要。乗用車用タイヤの場合、1カ月で約5~10パーセント(10~20kPa)も低下してしまいます。
空気圧が低下すると、タイヤは重さを支えきれずに、たわみが大きくなります。その状態で走行していると、タイヤは適正空気圧のときよりも大きな変形を繰り返すことで異常発熱し、最後にはバーストにいたってしまいます。バーストに至らなくても、セパレーション(はく離)を起こしたり、たわみが大きくなることで走行抵抗が増えるため、燃費が悪化してしまいます。
空気圧不足はほかにも、本来のグリップ力が発揮できないことで走行安定性が低下したり、タイヤの排水性が落ちることで、雨天時にスリップしやすくなったり、タイヤが偏摩耗してしまったりなど、さまざまな問題を引き起こします。
タイヤ空気圧は高すぎてもダメで、指定空気圧よりも高くなってしまっていると、本来のグリップ力が発揮できないことで、スリップしやすくなったり、振動が伝わりやすくなってしまうことで乗り心地が悪化、また、空気圧不足のときと同様に、タイヤの偏摩耗やバーストを引き起こす可能性も。
タイヤの空気圧は、(エアタンク一体型の場合)空気充填機にあるエアゲージで測定しながら、指定空気圧に合わせます。月に一度、タイヤが冷えている状態で調整しましょう。純正タイヤサイズでない場合は、指定値以上にするのが基本です。ガソリンスタンドの空気充填機は自由に使えることが多く(有料の場合もあります)、店舗によっては、スタッフが無料点検してくれるスタンドもあります。エアゲージは、インターネットやカー用品店で、1000円程度で手に入るので、ひとつ用意しておきたいところです。
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