三菱 レグナムの残光 ミニバンブームに敗れた最強ワゴン!! 【偉大な生産終了車】

 毎年さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。

 時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。

 しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。

 訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は三菱 レグナム(1996-2002)をご紹介します。

文:伊達軍曹/写真:MITSUBISHI、ベストカー編集部


■レガシィツーリングワゴンの対抗馬としてデビュー

 ステーションワゴンブームがその頂点を迎えていた1996年、最上級グレードには最高出力280psの2.5L V6ツインターボエンジンを採用して登場した快速ワゴン。それが、三菱レグナムです。

8代目ギャランをベースに開発されたレグナム。ギャランとともに日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞(1996年)。画像の「VR-4」は現在も根強い人気を持つ

 三菱レグナムは8代目三菱ギャランのステーションワゴン版で、ギャランと同じく1996年9月にデビューしました。登場時のキャッチグレーズは「プレステージ・スポーツワゴン」。

 スバル レガシィツーリングワゴンへの強烈な対抗心がうかがえるこのフレーズからわかるとおり、レグナムは、レガシィを仮想敵とする一台でした。

 初期型の搭載エンジンは前述した2.5L V6ツインターボのほか、1.8L 直4と2L V6、2.5L V6の4種類。

 なかでも話題となったのが、VR-4に積まれた280ps(前期AT版は260ps)の2.5L V6ツインターボと、量産車では世界初となるガソリン直噴方式「GDI(Gasoline Direct Injection)」を採用した1.8L直4でした。

ベース車となったギャランからリアが延長されラゲッジスペースが拡張、ルーフレール装着車は車高が30mm高くなっている(画像はVR-4)

 そして三菱レグナムはエンジンだけではなく足回り等も凝っていました。サスペンションは前後ともマルチリンク式で、VR-4にはAYC(アクティブ・ヨー・コントロールシステム)を標準装備。

 さらにVR-4の5速AT版である「タイプS」では、4輪ブレーキを独立制御して旋回性能を高めるASC(アクティブ・スタビリティ・コントロールシステム)も採用することで、マーケットリーダーであったスバル レガシィ ツーリングワゴンを追撃したのです。

 1998年8月のマイナーチェンジでAT版のVR-4も最高出力280psとなり(ただしこのタイミングで5MTのVR-4はカタログから消滅)、自然吸気のV6エンジンを整理。

 そして2000年5月にはGDIエンジンを2Lにスープアップさせると同時に全車の側面衝突安全性も強化しました。

 しかしモデルライフの途中から低迷していた販売実績はなかなか好転せず、結果として2002年8月、三菱レグナムは生産終了とあいなりました。

■ なぜレガシィは残り、レグナムは消えたのか?

 特にVR-4は一部の人に割と熱烈に愛されたにもかかわらず、なぜ三菱レグナムは1代限りであえなく生産終了となってしまったのでしょうか?

 いくつかの理由が考えられますが、そのなかの大きなひとつは「ステーションワゴンブームの終焉」です。

 1990年代の日本は、1989年に登場したスバル レガシィツーリングワゴンに端を発するステーションワゴンブームに湧いていました。

 トヨタからはカルディナやカローラワゴンが登場し、日産ではアベニールやステージアが人気を博し、ホンダはアコードワゴンを北米から逆輸入したのです。

 そんななかで1996年に登場したのが三菱レグナムなわけですが、2000年代に入ると日本ではなぜか「ミニバンブーム」が巻き起こり、ステーションワゴンというカテゴリー自体がいつの間にか人気薄になっていきました。

 荷物がたくさん載せられるタイプの車でありながら、空気抵抗が少なく重心も低いため、セダンにほぼ準じた高速性能やパーソナル性が堪能できるステーションワゴン。

 しかし、結局は100km/hか100km/h+α程度のスピードしか出すことが許されない日本では、「そんな性能より、車内が広いとか天井が高いとかのほうがよっぽど嬉しいよ!」ということになっていったのでしょう。

 残念な話ですが、それが「現実」でした。

ヘッドルームにゆとりを持たせ、のびのびとした室内。ラゲッジルームは8箇所に設けたフックとラゲッジネットにより、多彩な使い方を実現させた

 「ステーションワゴンブームの終焉」という以外にも、レグナムが1代限りで生産終了になってしまった理由はいくつかあります。

 そのひとつは「自慢のGDIエンジンが意外とイケてなかった」ということです。

 理屈と志は素晴らしかったのですが、実際の燃費はさほど伸びず、なおかつ燃料がハイオク指定だったというのもGDIエンジンの残念なポイントでした。

 またそのほか1997年の「総会屋利益供与事件」や2000年の「リコール隠し事件」で、三菱自動車のイメージが地に落ちたから……という理由もあるでしょう。

 さらには、レグナムは外観デザインがちょっとアグレッシブすぎて(ガンダムっぽくて)、レガシィと違ってオトナ系ユーザーからはあまり好かれなかった……という事情もあるかもしれません。

 悪い車ではなく、むしろけっこう素敵なスポーツワゴンだった三菱レグナムなのですが、「いろいろちょっとしたところ」が残念で、「何かと巡り合わせも悪かった」一台だったと言えそうです。

■三菱レグナム 主要諸元
・全長×全幅×全高:4710mm×1740mm×1450mm
・ホイールベース:2635mm
・車重:1530kg
・エンジン:V型6気筒DOHCターボ、2498cc
・最高出力:280ps/5500rpm
・最大トルク:37.0kgm/4000rpm
・燃費:―km/L(10・15モード)
・価格:306万円(1996年式)

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