紫外線が気になるこの季節、クルマを運転していても、肌がじりじり焼けるような感じがして、「日焼けしそうだな」と感じることは多いかと思います。しかしながら、昨今のクルマのガラスには、UVカットガラスが採用されており、ガラスを閉めていれば、車内で日焼けをすることはない、といわれます。
ただ、クルマに乗っていると、日焼けをしているかのように、肌がじりじりと熱く感じることはありますよね。はたして、UVカットガラスが採用されたクルマの車内では、本当に日焼けしないのでしょうか。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:写真AC_胡麻油/写真:JAF、Adobe Stock、写真AC
紫外線A波を99%以上カットしてくれるUVガラスも
紫外線には、皮膚の真皮層にまで達して肌にダメージを与えることでシワやたるみの原因になるといわれる紫外線A波(UV-A)と、赤く炎症を起こし、シミやそばかすの原因になるといわれる紫外線B波(UV-B)があります。ガラスメーカーによると、このうちの紫外線B波は、ガラスを通して室内に入ることはほとんどないそうで、紫外線A波についても、UVカットガラスを使うことでカットすることが可能とのこと。クルマのガラスでは約90%以上カットしてくれるものが多いですが、なかには99%以上紫外線をカットしてくれるUVカットガラスもあります。
スーパーUVカットガラスのクルマは、全てのガラスで1マイクロワット以下という観測結果に
ただ、冒頭でも触れたように、ほんとに日焼けをしないのか、疑問に思っている人も少なくないはず。しかしながらJAFが実施したユーザーテストによると、短時間であれば本当に日焼けはしないようです。
JAFが行ったユーザーテストは、UVカットガラスの性能が比較できる 4台のテスト車両において、フロントガラス、前席サイドガラス、後席サイドガラス、リアガラスそれぞれの日差しが当たる場所での紫外線の強さを30分間確認する、というもの。
【参考記事】クルマに乗っていれば、日焼けしない?(JAFユーザーテスト)
4台のテスト車両は、サイドウインドウとソフトトップを下げた(オープン)状態のオープンカー(2016年式マツダロードスター)と、UVカット機能のないクリアガラスを装着する軽自動車(2006年式ダイハツエッセ)、紫外線カット率90%のUVカットガラスを装着するコンパクトカー(2017年式日産キューブ)、そして紫外線カット率約99%のスーパーUVカットガラスを装着するミニバン(2018年式トヨタアルファード)。それぞれのクルマの各ガラスの紫外線強度を、UV計測器による紫外線強度の計測と、紫外線の強さによって色が変化する「UVラベル」の2つの方法で確認しました。
その結果、UV計測器による計測では、フロントガラスについては、オープンカーが343マイクロワット(μW/cm2)で、その他のクルマも6.5、3.2、0.3など、低い数値に。紫外線強度計なども取り扱う、測定器の商社によると、人間の肌は500マイクロワット以上から日焼けがはじまるそうですが、フロントガラスは30年以上前から紫外線カット機能も備わるフィルムを挟んだ合わせガラスが義務化されていることから、4台とも低い数値となったようです。
ただ、その他のガラスとなると、ガラスが下げられているオープンカーでは、2620マイクロワットや2015マイクロワットなど、かなり高い数値となりました(テストしたオープンカーは後席がないので後席ガラスの数値はなし)。1000~2000マイクロワットの紫外線量に10分以上さらされると日焼けが起こり始める人もいるそう(前出の測定器商社)のなので、直射日光となるオープンカーでは紫外線対策が必要となることがわかります。
クリアガラスのクルマでも、前席サイドガラスとリアガラスでは1000マイクロワットをこえる数値を観測。ただ、UVカット機能の備わるガラスを装備するクルマでは、30分間の観測では日焼けが始まるといわれる500マイクロワットを超える数値は確認されず、スーパーUVカットガラスを装備するクルマでは、全てのガラスで1マイクロワット以下という観測結果に。99%紫外線をカットする、という性能を裏付ける結果となりました。
UVラベルによるテストにおいても、オープンカーやクリアガラスのクルマは時間の経過で赤くなったのに対し、UVカットガラスはわずかに赤くなり、スーパーUVカットガラスはまったく色が変わらない、という結果に。やはりUVカットガラスを装備する車内では、紫外線は十分にカットされているようです。
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