徐々にではあるが車種も多くなり、選択肢も増えてきたBEV。「そろそろ買ってみるかな……」とお考えのみなさんが気になるのは、やはりリセールバリューだろう。バッテリーのヘタりなどが気になるBEVの買い取り価格はどうなっているのだろうか?
※本稿は2024年6月のものです
文:萩原文博/写真:日産、レクサス、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2024年7月10日号
■BEVの残価率は高いのか低いのか?
だいぶ身近になってきたBEVだが、「そろそろ買ってみようかな」と考えるユーザーが気になるのはリセールバリューだろう。
世の中ではBEVは残価率(買取価格)が高いという意見と残価率が低いという意見が真二つとなっている。そこで、今回はさまざまなモデルでBEVと同クラスのガソリン車、どちらの残価率が高いか調べてみた。
まずはレクサスUX。比較したのは2022年式のUX300e バージョンL 2WDとUX250hバージョンL 2WDだ。
新車時価格はUX300eバージョンLが635万円、UX250hバージョンLは518万4000円と116万6000円BEVのUX300eバージョンLが高い。
しかし、現在の買取価格を調べてみるとUX300eバージョンLが約355万円、UX250hバージョンLは339万円。残価率はUX300eバージョンLが約55.9%。対してUX250hバージョンLが約65.3%と約10%上回っている。
続いて日本国内で最も売れているBEVの日産サクラと同型のガソリン車、日産デイズだ。比較したのは2022年式のサクラGとデイズハイウェイスターGターボプロパイロットエディション。新車時価格は、サクラGが294万300円、デイズハイウェイスターGターボプロパイロットエディションは190万7400円。
買取価格はサクラGが約130万円。対してデイズハイウェイスターGターボプロパイロットエディションが約106万円。残価率を見るとサクラが約44.2%、デイズが約55.5%とこちらもガソリン車のほうが10%BEVを上回る結果となっている。
続いては輸入車のBEV。近年BEVラインナップを拡充させているメルセデスベンツだ。比較したのは2022年式の新車時価格1,578万円のEQS450+と1,465万円のS500 4マチックだ。
買取価格はEQS450+が驚異の約443万円。対してS500 4マチックは約860万円。残価率は、EQS450+が約28%、S5004マチックは、約58.7%と大差でガソリン車が上回った。
BMW4シリーズを中古車相場で比較してみると、2022年式の中古車相場は、M440 i xDriveグランクーペの平均価格が約693.4万円、中古車の価格帯が約600万~約738万円。一方、i4 M50の平均価格は約786.6万円。中古車の価格帯は約748万~約895万円となっている。
この2グレードは新車時価格で約74万円差なので、その差はほとんど変わっていない。
こうして見ると「すべての車種でBEVのほうが値落ち率が大きい」とは言えないが、BMWは特異な例で、一般的にはガソリン車よりBEVのほうが残価率は低いと言える(メルセデスベンツEQSの残価率約28%は驚きを隠せないが)。
中古車は、需要と供給で価格が決まる。今回の調査を見ると、中古BEVの人気と買取価格は相当厳しいと言える。
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