マツダの次世代ロータリースポーツに大きな動きがあった。マツダが申請していた「車両用駆動システム」の特許が正式に登録されたのだ。それはクルマ好きの夢が膨らむ最高のシステムだった。最新情報をお届けする!!
※本稿は2024年7月のものです
文、予想CG:ベストカー編集部/写真:マツダ、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2024年8月26日号
■これからのREは発電専用なのか?
2023年のジャパンモビリティショーで世界初公開。その美しさとロータリーエンジン(RE)の復活というインパクトで大いに話題となったのがアイコニックSPだった。
そのリリースでは「2ローターのロータリーEVシステムを採用」となっており、それはつまりMX-30ロータリーEVと同様、REを発電専用に使うことを意味していた。
「ロータリースポーツの復活は嬉しいけど、発電専用って何よ?」という複雑な思いを抱いた読者も多かったのではないだろうか。担当もそうだからよくわかります。
ただ、同時に担当には疑問があって、それは展示されていたクルマの運転席と助手席の間に大きな出っ張りがあったこと。明らかにプロペラシャフトが通っているセンタートンネルで「発電専用のエンジンに、こんなものが要るのか?」と不思議に思ったのだ。
そばにいた説明員さんに「このREは発電専用と決まっているのですか?」と聞くと「いえ、そう決まっているわけではありません」という返答。それ以来、どのメディア(本誌も含め)で「アイコニックSPのREは発電専用」と書かれていても「絶対にそうとは限らない」と思い続けてきた。
■REマイルドハイブリッドを新開発
2024年6月18日、そんな担当が「勝訴」と書いた紙を掲げて裁判所から飛び出したくなるような出来事が発生した。「車両用駆動システム」というマツダの特許が登録されたのである。
それはいったいどんなものなのか? 端的に言うと「REを駆動に使うマイルドハイブリッド」ということだが、特許を取るだけあって、凝ったシステムになっているのだ。その内容を説明しよう。
●駆動用のREを前輪車軸後方に配置(フロントミドシップ)。
●後輪駆動で、REはフライホイールレス。
●25kW(約34ps)のモーターがREと直結されていて、クラッチでの断続機構はない。
●この直結されたモーターがフライホイールの役割を担うのか?(本誌予測)
●駆動用バッテリーはシート(2シーター)の真後ろに置き、その後ろにガソリンタンクを配置。
●トランスミッションを後輪車軸上に置くトランスアクスル。
●このトランスアクスルはアクチュエータでの作動も可能(つまりAMT)だが、完全なMTとしても設計可能。
●RE+モーターによる駆動とは別に、フロント左右に片側17kW(約23ps)のインホイールモーターを配置。
●スイッチ操作で燃料供給をカットし、モーターだけの走行も可能。
●エンジン走行モードでは、モーターへの電力供給を止めて、RE走行の運転フィーリングが楽しめる。
つまり、通常はREのマイルドハイブリッドで後輪を駆動し、モーター走行モードでは前輪のインホイールモーターも使ってのBEV走行、エンジン走行モードではREのみで後輪を駆動する3パターンの走りができるということなのだ。
BEV走行できる距離は短めだと思われるが、ストップ&ゴーが繰り返される市街地では燃費を稼げるし、深夜、早朝の住宅街でも騒音を気にしなくていいメリットもある。令和の時代にふさわしいREスポーツというわけだ。
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